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ゲロとクソにまみれた掃き溜め

君を忘れたくないから、君を赦しはしないよ

八月

 2018/08/03
 両国SUNRIZE
 弾き語り。
 夢が叫んだ、フィロソフィー、GREEN、VOICE。
 アコギだったりエレキだったりと持ち替えていたが、やはりアコギの方が良さそうだ。
 この近辺でバイプレーヤーズというドラマを一気に見て、そのEDの竹原ピストル「Forever young」にやられていた。
 Forever young あの頃の君にあって
 Forever young 今の君に無いものなんて無いさ
 今の俺にピッタリの言葉だ。何がキッカケになるかは分からないものだ。音楽は宝物。

 2018/08/15
 三軒茶屋HEAVEN'S DOOR
 Ghetto Chapter107「The end of war」
 翌日にPERFECT DAYという勝負の日を控えながら、その前日にもライブ。Ghettoがこういう頭の悪い日程の組み方が出来るバンドで本当によかった。
 北海道のCAR THIEF SCHOOLは生憎のキャンセルとなってしまったが、「四組でなんとかしなきゃならねえ」っていう謎の危機感が出演陣にあったような? 気のせいかな。なんかそれがいいように働いてた気がしたので。
 無論一組でもなんとかしなきゃいけないわけだ、実際のところ。
 個人的にはUNRUCHが面白かった。マイクとノイジーなエレキギターという最小単位ながら、瞬発力とタイトなリズムが垣間見えて独自にストイックな空間を構築していた。
 ボーカルの人が襟足を一束だけ残して、あとは全剃りというクールな髪型だった。
 リビドーと悪魔も純粋に楽しめて、おまけにドラムのけーこさん(男)の胸がはだけまくって、多分俺ここ最近で一番興奮したと思う。大丈夫なのかな。

 2018/08/16
 両国SUNRIZE
 HIROSHI ASAKUSA pre. PERFECT DAY vol.7
 Ghetto Chapter108
 「SEXと愛のイメージを」

 N.K SYSTEM
 TEN-SIN
 Mt.BLUE BEAR
 Ghetto
 HIROSHI ASAKUSA∞XipeTotec

 あまりここで多くを語るのは野暮な気がしてならない。
 色んなものが錯綜していたが、俺たちは俺たちのやるべきことをやった。そしてそれは、どうやらとても良いことだったようだ。
 いつも率直に思うのは、本人はいつも打ちのめされたように語るけど、イベントをこれ以上なく締めくくる梅さんには感嘆の声しか出ない。
 覚悟が違う、言葉にすると安っぽいがその一言に尽きると思う。
 あの目線でステージに立ったときに、俺は目の前の人間にどれだけのものを残せるだろうか。
 戦っていたい。

 2018/08/25
 長岡音楽色堂
 HIROSHI ASAKUSA pre. PERFECT DAY vol.8
 Ghetto Chapter109
 「ショウタイムのイメージを」
 帰省も兼ねての久々の地元。
 憎しみしかない地元だったが、さすがにここまで来ると多少見方も変わってくる。無論安堵や望郷、そういったものとは違う。
 あるとき親が実は「親という存在」ではなく、ただの一人の人間なんだと気付いた瞬間が君にあるか?
 強いて言えばそれに近い感覚に陥った。
 味気ない無味無臭の土地、だがそれが確かに俺を育んだ部分、根に残した部分というのは確かにあり具体的に何が、ということはないが、「オマエもそうだったのか」と悟った。
 それを踏まえたうえで、芸術や文化が根絶やしになったような土地にまさかライブハウスが出来て、おまけに今まさに息吹を立ち上げ始めている。
 感動というより、まこと奇妙な気持ちだ。どうやら運命ってイカれてるらしい。血の通った屍しかいないと思っていた。今、それが少し変わってきている。

 話が変わるが、最近はライブにおいて俺は「出来ること、出来たことを確実にやる」ということを意識している。
 モチベーションとか自分をよく見せようだとかで作っていた部分、昂ぶって瞬間的に上手くいっていたピークの部分を、いつでも自然に出来る感覚を定着させようと。
 スポーツの反復練習に近いが、身体(演奏、歌唱)を突き動かす感情面でやれることが目的だ。
 言ってしまえば役者の泣く演技のようなものかな。
 俺自身が感情移入しているかどうかは問題ではなく、見ている側が自然と感情移入してしまうようなものが理想的だし、言うなればそれがプロなのかなと最近は考えている。
 それは作為的なものとは少し違う。感情ごちゃ混ぜで歌うものがいいときもあるが、俺はやっぱりそこに見ている側の気持ちが重なってほしいと思う。
 叫ぶのはツラい。叫ばざるを得ないのだが、叫ばなくて済むならそれでいいようにも思う。
 じゃあ何故叫ぶかと言えば、そこの共鳴してくれる人の心にある苦痛、そのわだかまりを少しでもほぐせたらいいなと思う。
 両国と長岡、二つの場所で一つの命。この機会に俺はそれが少し分かった気がする。

 2018/08/25
 両国SUNRIZE
 Ghetto Chapter110
 「存在のイメージを」
 PUNiKのイギリスからの凱旋。あとウメxバラ。
 最近何気なく思うのだが、また少し周りが変わってきたような気がする。
 別に悪いことではないのだが、ちょっとだけ、本当にちょっとだけそれが疲れる。どんなに環境が変わっても俺は見る目を変えたりはしないよ。大事なのは心の情景だろ。
 付随して愚痴を綴るが、公私共に「これは言えないな、出来ないな」という事柄が増えてきた。
 バンドのオフィシャルな部分は変な話「そういうもん」だから構わないんだけど、意外とプライベートにまでそれは及んでくるんだな、というのがここ最近で一番の驚き。
 これも覚悟の話なのかもしれないが、バンドで硬派にやってる部分が、オフで行動してるときに「ここでグータラは出来ないか」みたいに枷になるときがあったりするわけ。変なこと言えねーな、とか。あやふやな表現で申し訳ないが。
 裏表を使い分けたり、公私で主張をガラッと変えられるほど俺は器用じゃない。いや出来るんだけど、人の精神はそれをやると病む構造になってる。だからやらない方がいい。肝心のバンド活動で邪魔になる。
 でも時々、言い方が悪いが、気持ちや言葉のゴミ箱が欲しいな、と思う。そんなん受け入れてくれる人がいたら惚れちまうわ。だから優しくされるのも困る。
 実際「ぶつけてくれてもいいよ!!」なんて言われても、一方的に吐き捨てるのはまるで性に合わないので、自分という奴はつくづく気難しいヤローだ。
 また面倒ごとに首を突っ込むのが好きなのだけど、実際それで何が解決するかというと、ただややこしくなるだけなのが虚しい。皆が苦しむのを眺めることしか出来ない。眺めて笑っていることしか出来ない。(ん?)
 音楽も人間関係も恋愛も(ん?)ある程度でサッパリと割り切った方がいい。ズブズブになってる人であんまりいい結果になってるのを見たことがない。今のところ。
 つまんないね。つまんない結論だな。そんなことないって、誰か言ってよ。

 2018/08/31
 三軒茶屋HEAVEN'S DOOR
 【Powerful drug】
 Ghetto Chapter111
 「共犯者」

 Ghetto
 断絶交流
 クロメ
 VROOM
 GOLGO BUTCH

 面白かったね! 久々のトッパーだったけど、やっぱりトッパー楽しい。好き……///
 面子もよかったんですけど、そこはさすがにヘブンスっていうか、ヘブンス過ぎたね! 八月末がこれって、夏最後のお祭り感があって大変よかったですけども。
 やればやった分だけ楽しくなるのがヘブンスだから、そこは本当に好き。こざっぱりと音を楽しむ、そんな感じだったんじゃないかな。(まだ酒が残っている)
 てんやわんやの八月だった。あっという間だったが、しっかりと一ヶ月間の重みもあったように感じる。六月以来久々の遠征も大きかったな。
 っていうか、遠征より旅行がしたいなぁ……。
 としみじみ思いました。ワハハ、なんだこのオチは。綺麗なものを沢山見ようぜ。

七月

7/16(月・祝)
新宿Live Freak
The Eastern Monkeys presents
【狼煙Vol.2】
Jack Chicken Strippers
PUNK DISCO
Ghetto
MILK SNAKE
The Eastern Monkeys
- Sub-stage -
イマオカトモミ

Ghetto Chapter103
「犬が吠える」

 PUNiK企画で知り合ったイースタンモンキーズの企画。彼ら(結構年上だけど)のストレートだけどひねりが効いたロックンロール、何よりメロディが俺は好きで。スリーピースってこうだ、ってのをシンプルに体現してる。
 フリーク初めてなのもあって結構楽しみにしていた。どのバンドも固定のお客さん(多分)がいて、そういう人って対バンのライブもしっかり見るんだよな。いいバンドにはいいお客さん、それがハッキリ出ててスカッとした。
 ツイッターにも上げたが俺らのチョベリグな写真まで貰って、こういうところのクオリティが高いのは素直に憧れる。純粋に人柄の成せる業だと思う。
 久々のPUNK DISCOは随分音がスッキリしてグッドメロディが届いてスッとした。俺昔からこういうデジタルロック、超ツボ。
 アデムさんライブにぼやいてたけど、以前俺らが出さしてもらったエルプエンテのライブでえらく反省して今の形になってきたんだと。ウケる。
 あと俺が自分のサウンドチェックでいつも弾いてるKornのBlind(っぽい)リフを初めて指摘された。ついにバレた。他の何か考えないとなぁ。
 肝心のイースタンは、この前見たときより更にタイトになって、トリに不慣れな感じがまた可愛くて、俺は大事な何かを思い出したような気になった。すっごい練習してると思う。ピュアに。大事なものを忘れないルーキー。
 大和田さん今度改めて飲もーね。大好き。

7/21
両国SUNRIZE
【両国無法地帯】

Too Late …ASIA
自転車SO業舎(from 大阪)
Ghetto
クロメ
ハテンコウ
THE SPAM69
野田サリー
ロマンチスト

Ghetto Chapter104
「K. and his bike」

 結構楽しみにしてた日だったんだけど、個人的には小爆発だった。期待を裏切られた、勿論悪い意味で、という感触が強い。
 その点クロメには派手に払拭してもらって良かった。終わりよければだ。
 ギターが変わってどうなるかと思ったが、なんてことはない、前よりずっとちゃんとバンドになった。この3人でしか出せない音があるだろう、もっと行くだろうってギラついた感じにワクワクした。

7/24
 両国SUNRIZE
【両国無法地帯】

リビドーと悪魔
Ghetto
【件-空断-】
暗黙のストライカーズ
燐-Lin
ジェームス

Ghetto Chapter105
「GREEN & GOLD」

 しんどかった(笑)
 新曲のGREENを披露。これ、凄く好きです。いい歌詞が書けた。

 7/28
 三軒茶屋HEAVEN'S DOOR
 月凍リ仕舞-ハットトリック-

 シメる場として、この日ようやくキッチリと演奏できた。新潟ぶりにいいライブが出来たと思う。
 喋り全然考えてなくて、大分雑だったけど。
 色んなノイズがうるさかったが、俺は少年の姿を見た。それだけでいいと思った。
 俺はこの瞳と見返しあうことを誓う。
 「長生きしろよ、」
 あとはもう何もない。
 生きろ、生きろ、生きろ。

GREEN

向日葵畑/砂埃/疾風

心臓に花を/君に名前を

エメラルドの眼/擦りむいた膝

僕らのEVERGREEN/OMOIDE



アスファルト/心療内科

サンダル/白兎

ハイウェイ/8月の祈り

ブランコ/タイムマシン



死んだ人は星になるって

望遠鏡で探したよ

花火でロケット作ったら

君に会えるかな



水色の歌/「夏だね」と言った

油膜の虹と/モグラの死体

羽根が折れても/カモメは鳴いた

僕らのEVERGREEN/SAKASAMA



秘密基地/懐中電灯

踏み躙られた/懺悔

子供たち/有刺鉄線

レイプされた/女神



打ち上げ花火/飛び降り自殺

僕の魔法は/役立たずだった

エメラルドの眼/ただの石ころ

僕らのEVERGREEN/SAYONARA



僕らはみんな生きている

生きているから歌うんだ

僕らはみんな生きている

生きているからかなしいんだ

(Ghetto)

6/20 to 6/28

 6/20@三軒茶屋HEAVEN'S DOOR
 久々のarahabakiとアスタケ、吉美四季さん。シクスシクスも初めてではないが、俺はお互いのライブを見て乾杯してない人は覚えられないから対バンや知り合いにカウントしない。分かりやすい。ちなみに打ち上げで乾杯か、酒の奢り奢られをすると友達になる。
 arahabakiもアスタケも、少し見ない間にまたグッと成長してて、凄いなぁ、時間って平等に流れてるんだなぁと感心した。
 arahabakiは音響系にありがちなリズムの緩さ、みたいなものがかなり引き締まってて、アンサンブルの噛み合わせが格段によくなったように感じた。もともとヘブンス向けの音してるし、やってるうちにまたメキメキ上達しそう。あとは歌でしょうか。
 アスタケは二人で一つというか、個々のスキルアップもそうだけど、とにかく二つの音の混ざり合いと融合が凄まじい。そこにあの楽曲が乗ることで、一気に世界に引き込まれる。俺は「生きる力」が好きなんだけど、この日はライブ前にも関わらず泣いてしまった。「分からなくなった」の部分、アスカの声の伸びと張りは一級品。
 四季さんは、やる気を削がれてるんですかね、これは。勿論やるせない事情は沢山あるんだろうけど、そういう事柄を打破するために俺達ライブ始めたんじゃないでしょうか。それはどんなに数や時間を経ても変わるものじゃなく、迷うこともまた無いと俺は思います。
 Ghettoは再びトリで、またもやアンコール。とはいえ、この日は個人的にかなり演奏が荒く、ハッキリ言うとアンコールを貰うクオリティではないと思っていた。メンバーの力量による部分が大きいのかもしれないが、今後このぐらいのもので頂いても、俺が納得いかなかったら断るかもしれない。
 なあなあにはなりたくない、やりたくない。それはアンコールに限らない、本編も一緒だ。
 以前より越えたものをやれたときに、有り難く貰うことにする。30分一本勝負、まだまだ載せられる命がある。秤はそんなに小さくはない。
 が、アンコールはともかく、アルコールはいつでもくれ。

 6/21@両国SUNRIZE
 実は7/28の企画でギロッポンには声を掛けていたのだが、日程が重なって今回は見送りになっていた。しかし、そこへこの日が決まり、縁というのはとかく面白い。縁はあるところに尚集まるものなんだな。縦の糸はあなた。
 二日目のアスタケも、サウンドはヘブンスより大人しくなった(箱の音響的に)が、それでもこみ上げるものは変わらなかったので、より今の地力を痛感する内容だった。
 ギロッポンとは会場前からお祭りヤローのチンギスさんと話し込んでいて、「何から何まで期待通りの人だなぁ」って既にサイコーの気分だった。
 ツイッターにも軽く書いたが、俺が東京来て初めて見に行ったライブ、初めて行った両国SUNRIZEに出演してて、ゴリッゴリのサウンドとバキバキの刺青とピアスっていう厳つい見た目で「うわー、東京に来たんだ」って超分かりやすく洗礼浴びせてくれたんですよ。
 トッパーの乖離。が突き刺さってたのもそうだし、トリのMUSHAxKUSHAには完全にぶちのめされて棒立ちだったし。あの日から全部繋がってんだなって思う。3年経ったけど、この3年間は俺の中で完全に一本のライン。
 その最初に立ち戻った感じがした。変わっていったものは沢山ある。その中でも変わっていないもの、それは俺の大好きなものだ。
 俺はこれを大切にすると決めた。俺達みんなの宝物になると、そう信じている。

 6/27@両国SUNRIZE
 フェニーチェな日。なんかこの日はみんなおかしかった。普通じゃない。
 でもGhettoは安藤さんに「美しかった」の言葉、池さんには「ガイナやね!」の一言頂きました。それだけで十分以上です。この二つは俺が貰って一番嬉しい言葉かもしれない。
 こういう日にぶち込まれるにつけ、「両国のことホームだと思ってるの、もしかして俺だけなのかな」って気分になるのが愉快だ。
 ホームが一番のアウェー。色んなものをくれるよ両国は。

 6/28@両国SUNRIZE
 この日は弾き語り。本編は楽しかったよ。弦が早々に切れまくり、最後はまた4本でやってた。泣ける。このときは池さんに「ナイスファイト!」貰いました。ふ、ふふ……。
 あまりに悔しかったので7/12のお誘いも即決した。やるぞ俺は。弾き語りやりたくねえけど、やられたままなのはクソむかつく。
 再びアスタケと対バンで、やっぱりこの日も俺はウルウルした。もう駄目かもなこれは。完璧かもな。6/23だかに開花宣言の二日目見に行って、そのときもライブペインティングしてるアスタケと話し込んでたんだが、毎日いても苦じゃない気がする。向こうが苦になるか。
 というか別にオフで仲良かろうか人柄が最高だろうが、ライブで感極まるかは全く別の話だから、普通に今のアスタケ凄いって話。この前日にも言ったけど、梅さんには改めてごり押しておこう。先輩をなんだと思ってるんでしょうね。
 前日はパイロッツ、この日はモッフィーだったけど、凄かった。抜群のキレ。その後反動か何かで凄いめんどくさいふてくされ方してたけど。じゅんじゅんが慰めてたのにウケた。
 ダーハマさんは相変わらずのロックンロールっぷりで、弟のYASTAMANさんはめちゃんこ常識人、だけど曲にやっぱり路上というか、強かな生命力を感じた。あと兄弟だけあって声質がやっぱり似てた。まくるところとかの。
 そして例によって終電を逃した俺は隣の公園で寝てたんだが、そしたら財布をパクられた。今尚てんてこまいと憂鬱の海を泳いでいる。絶望。
 「財布パクられて今交番です」とモッフィーに言えば「また呑もう!」と言われ、「財布無くしたんだろ? 呑み行こうぜ!」と謎のお誘いでダーハマさんに外飲みに連れ出され。そんな気分じゃねえんだけど、えっ分かんないかな!? バンドマンってホントクソかな!! ありがとう!!
 思い返してみれば「そんなこともあるさ」、というぐらい最強の日々だ。

 目を背けるのが難しいくらいに楽しいことが沢山ある。
 その隙間にひっそりと紛れ込んでいる暗闇、お前はきっと昔の俺の傍にいつもいたやつだろう?
 お前を邪険にするぐらいなら、楽しいことも過去も未来も、全部まやかしになるだろう。
 お前がいたから孤独でも一人ぼっちではなかった。お前のおかげでみんなの暗闇が少し分かる。
 昔より手狭になったこの部屋で、それでもお前の居場所を無くしたりはしない。一緒に生きような。
 お前こそ俺の宝物。何度手放してもまた俺の手に。
 消えないでおくれ。
 離れないでおくれ。

「あいつ」

 病院はいつも退屈だった。いつもより親が沢山のゲーム、沢山の漫画、沢山のプラモを買ってくれた。
 でもどれもすぐに終わってしまう。だって病院はいつも退屈だった。たまに落書きなんかもしてみるけど、全然ストーリーが浮かばない。毎晩寝る前に壮大なファンタジーを妄想してたのに。
 クレヨンしんちゃんのコンビニコミック、父親が社員旅行のハワイで買ってきたドラえもんの45巻、何べん読んだか分からない。なんでハワイでドラえもんだったのかも分からない。
 いつの間にか隣のベッドの子と友達になった。お前ずっといるな、そんな風な切り出しだった。
 俺は髄膜炎で、彼は、なんだったかな。血液の病気だったか。
 小学2年生の夏。日差しは眩しかったし、窓際の俺のベッドにはいつも木漏れ日が差していた。でも病院の中はいつも薄暗くて、象牙色だった。
 曲がり角でおばけに会うんじゃないかって、よく思った。でも実際にいたのはトイレから出入りする、歩くのが遅すぎた爺だった。

 俺の親はしょっちゅうお見舞いに来た。交代で泊まったりもした。
 「あいつ」の親は忙しそうだった、あまり顔も覚えていない。
 たまに果物の盛り合わせたバスケットを持ってきては、俺の分も林檎を切って分けてくれた。梨は嫌いだったから、「あいつ」が食べた。
 毎日の点滴の入れ替えだけが辛かった。でもおかげで注射が好きになったような気もする。
 しょっちゅう点滴スタンドを振り回しながら、「あいつ」と2人で病院内を追いかけっこをした。エレベーターは使わない約束。そんでもって、よく怒られた。
 なんだか俺の思い出はいつも誰かとごく僅かな間友達になって、一緒に悪戯ばかりして怒られて、そんなことばっかりだ。
 病院内を走らない! 危ないでしょ! と怒るのはいつも同じ、若い看護師だった。「注射ヘタクソだよな、あのお姉さん」って「あいつ」と笑った。
 夏休みが終わっても退院できなかったので、大して仲良くも無い女子生徒の親子が千羽鶴を持ってきた。なんとか委員だったからかな。
 俺の親とその子の親が話しこんでいる間、俺は小恥ずかしい気分になって、やっぱり「あいつ」と病室を飛び出した。
「お前友達が見舞い来て、いいな」
 と「あいつ」は言った。屋上手前の踊り場。
「あんなの友達じゃねえよ。仲良くもないし。よく俺のこと追っかけてくるしさ」
「好きなんじゃねーの?」
「うえっ、違ぇーよ。髪の毛ぐっちゃぐちゃでスパゲティみてーじゃん」
「結構可愛かったと思うけど」
「ヨシダってヤツが好きだったかな。いつも額に青筋たってて、お前ナガシマ好きだもんなー、ってからかうと余計おでこが青筋だらけになるんだ」
「へー」
 そういえば、「あいつ」のお見舞い、親しか来たことなかったな。 

 手術が近くなって、俺は病室を移された。窓際でもない。「あいつ」もいない。本当に退屈になった。
 おかしなことに「あいつ」の名前も知らなかったから、途端に会えなくなった。でも、知ってたところで会いには行かなかったと思う。
 ゲームボーイの筋肉番付とギャラガ&ギャラクシアンをやりまくった。全然クリアできなくて毎日チキショウ! って叫んで、同じ病室の小学校上がる前の子が泣いた。
 周りの子は入れ替わりが早くて、俺はすぐまた窓際のベッドになった。もう2ヶ月も病院にいた。
 一番近所で、クラスで人気のヤツが見舞いに来た。俺はまたイライラして黙りこくった。
 こいつといると、いつも小ばかにされてるような気分になって、自分が惨めになる。
 足が早くて野球にも詳しい、勉強も俺ぐらい出来る。スーファミのゲームも大体人気のヤツを持ってて、ポケモン言えるかな? を完璧に暗記してて、クラスメイトはしょっちゅうこいつの家に行く。俺はずっと家で絵を描いてた。
 そのくせ家が一番近所だったから、何かとペアにされがちだった。個人塾も一緒だった。小学校で一番最初に俺が友達になったのもだ。本当にクソッタレだ。
 退院したら、「あいつ」が学校に転校してくりゃいいのに、そんなことを考えていた。

 手術当日。といっても、てっきり俺は眠らされてどうにかされると思ったが、背中にぶっとい注射を背中に突き刺されるってものだった。
 これがまた最悪なことに、例のヘタクソな看護師で、俺は母親に見送られながら、手渡されたハンカチを精一杯握り締めて痛みに耐えた。
 別のこと考えると痛みって和らぐんだなって、そのときに知った。
 それから退院までは早かった。毎日の点滴の注射が無くなって、腕に何にも刺さってないとこんなに軽いのか! と驚いた。毎朝痛い目に合わなくて済むなんて、天国か! とも。
 退院するとき、親に「あいつ」に会いたい、と言った。「あいつ」はもう別の病院に行ったんだそうだ。
 俺はそのとき「あいつ」に何か大事なことを言い忘れたような気になった。プラモ、一個あげる約束してたのにな。SDガンダムの。

 先生、例えば心臓とか、肝臓とか肺とか、そんなのが「あいつ」に必要だったら俺はくれてやってたと思うよ。
 名前すらよく知らなかったけど。年も確か、本当は「あいつ」の方が1つか2つ上だったけど。そんなの関係なかった。
 クラスの誰よりも、幼馴染よりも、従兄弟よりも好きだったし、一番気が合うと思ってた。学校や親の関係で知り合ったわけじゃなかったからかもしれない。
 なんか、ふっ、と死んでしまいそうな夏だった。誰が消えてもおかしくなくて、でも死ぬことはやっぱりあんまり無い、あるのは転校ぐらいの、誰にでもあった幼い頃の夏。
 「あいつ」は俺の友達だったよ。
 今までもこれからも、ずっと。