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鳩 正義

Author:鳩 正義
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9/5@池袋adm

9/8@三軒茶屋HEAVEN'S DOOR

10/22@三軒茶屋HEAVEN'S DOOR

11/1@両国SUNRIZE

12月未明@両国SUNRIZE


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半身を引き裂かれる痛み

07 15, 2015 |

 時間が癒してくれる傷なんて所詮、その程度のものだよ。
 もっというと傷でもなんでもないんだ。
 時間が経つほどに鮮やかで血が吹き出してくる腐った傷。綺麗な傷。キス、キス、ギス、ギチ。
 君の病気は笑っちゃうくらい価値がないなぁ。治ったら?

 マニキュアが割れてる。パイナップルは腐って蝿がたかってる。タイツは伝線している。僕のラジオが感染してる。平和ボケした面に口紅を突き刺す。冷蔵庫が中身を撒き散らしながら僕の頭を齧る。温いビール、ケツ穴、リリカルな犯罪性。僕のラジオ。錆びたハサミで前髪、浴室、二の腕のホクロの少し下に化膿した切り傷、止まらない鼻血、同じところでループするレコード、ドアーズの、終わりが来ない終わり、夜も君も来ない、今日も来ない、粉、ケシ、吸う、爪を洗った。
 「幸せって痛いなって、ここにいたいなって、いつまでも痛いなって」

 目蓋が赤く、君の血管は脆く、古びた教会にはもう誰も来なくて、僕は、僕は嘘を吐いて泣き出した。それも嘘泣きだった。
 哀しいフリをした。あの子の膝が網膜にこびりついて脳から離れないんだから。
 黄色い蝶とモグラの死体を踏み潰した。濡れた雑巾を叩くような音。ミツオとルリの。重い目蓋をこする度に膿のような涙が出た。海に行きたかった。他に遊びも無かった。
 こんなときに限って余計なことを覚えるんだって、マリちゃんが言ってただろ。
 昔見た映画みたいな道を歩いた。木々の間を歩く。
 猿か鳥かの声にワッて怯えたりしてさ。僕の方が臆病だったなぁ。丘にはどこまでも青葉が、小さな紫の花が。

 瞳孔が開きっぱなしだから、君の写真捨てたよ。呪われそうだもん。
 あれはポラロイド……残ったインクも飛んで、君の背伸びした口紅の色だけ残った。キスマークね。
 ライターで焼いたら臭かった。なんか、鼻について、かびた林檎みたいな、身体に悪そうな甘ったるさ。

 「嫌いなのは人込みじゃなくて自分じゃないの?」
 たまには犬みたいにするのも悪くないな。君がね。なんかあるだろ、あの、アナルに挿す尻尾の玩具。タツが持ってた奴。球技は得意じゃないから、僕じゃボールは遠くに投げられないけど。

 戦場で生まれた、話す言葉を持たないロボットとダンスがしたい、その胸に揺れる茨とカナビスを撫でていたい。指を切って血が出る、絵を描く、でも何も言わない。名前は野薔薇さ。

 「勝手に独りで悟んないでよ、そういうのが一番バカみたいよ」

 蔦が覆う石造りの丘、煉瓦。階段の下では酔いつぶれた連れが引っ掛けた女とゲーゲー、ゲロではないものを吐き出していて、踊り場で寝そべったら、彼らに見えないように口付けを、セックスよりもいやらしいような、雨の匂いの沸き立つようなキスを。
 僕に砂を噛ませた。
 気色が悪い。

 黒い空がいつも視界の上半分を支配してるから、あなたの鎖骨しか見えない。あなたの鎖骨はよく喋る。僕はいつもバカにされる。いつも頭の後ろ40度から、鎖骨と黒い空と俺がバカにしている。いるいるいるりるいる。
 「また今日をすりかえるんだろ?」

 足の付け根からミルクが零れる。嫌悪感。赤と青と白と黒と、それしか無いの?
 ダンテ、パペット、錠剤、ホールデン、ブランデー、ロレッタ、ドグマ95、サンクトペテルブルク、鉄道、トローチ、致死量のコーヒー、電源、シンドローム、シルバー、クロニック・ラン、菊、肋骨の痛み。

 はみ出した舌はルンペンの顔色よりも青ざめて、劇場の観覧席で涎を垂らす。華美な装飾に涙の粒をこぼす度に、これほど醜いものがあるかと自問自答した。
 青白い青年の顔がいつまでも僕を見下していた。疼痛。腫れ上がった親指に檸檬は痛い。熱病。劣情。
 ベルオリーズ、サナトリウム、トランキライザー、狭心症、バルドー、妊娠、黒糖、扇風機、フラスコ、シド、リスボン、監獄島、ハンプティダンプティ、ロリィタ、真空管、アリア。
 浴槽に紅のランブルフィッシュ、メダカの骨の標本、窓の外にはパブのネオンライト、男装したマリオンの刈り上げたうなじ、飲みかけのカールスバーグ、ニューオーダーの囁き、蠢く指、花火の音、臍の下の刺青、其処彼処字の滲んだ日記、粉に塗れた100ドル紙幣、真鍮の過敏。2005年。11月。

 インシュリン、メタモルフォーゼ、殻の記憶、中身のない石、海辺、灯台、午前二時、懐中電灯、テトラポットに血の跡、リドリー、絡手繰り、発炎筒、サーチライト、サーチライト。
 昔よく知っていた人の、知らない笑顔。知らない人の、よく知る笑顔。

 燃え盛る街、降りしきる雨、僕は口笛を吹きまくって歩いた。遠くでは銃声、ソーヌ川、硝煙が立ち上るポスター、スピーカーは第九を狂ったように吐き散らした。世紀末の空が見える。ヴィヴィアンの首輪、アラベスクの指輪、ジムノペディの吐く息、白いマフラー、灰皿色の雲、タランチュラの刺青。
 古びたジェットコースター、錆びの浮いた観覧車、真夜中の遊園地、排煙した遊園地、塗装が溶けて泣いてるマネキン、腕の折れた天使の像、ほとんどの馬が屠殺されたメリーゴーランド、その前で君はくるくる踊る、バレリーナ、水面下の独占されたバレリーナ。

 黒ずんだ服を選び、ハンチング帽のひさしを後ろに回し、陽だまりのロッキングチェアーで聞いた子守唄を思い出し、それを口ずさみながら海沿いの堤防を歩いた。
 少し、いい気分で。
 上着の内側に入れた、落書きがチクリと心臓を刺した。

 秘密にしたがるのは結構だけど、僕、実は興味ないんだなぁ。
 次に上がる花火、青だと思う?赤だと思う?って聞いたのと同じさ。
 「秘密」って言われても、「ああそう……赤だったね」って、だろ? だからさ、いいよ、そういうのは。
 そんなことよりすることしよっか?

 コールタール、金曜の夜に電話、僕はコールタール、薄いレモネード、君の涙ぐんだ鼻歌、誕生日、長いお別れ、アイリス、高架下、港には働く男、飛蚊症。
 言いそびれた言葉があった、ブックオフの階段の下に倒れていた男、裸のサルビア、11月の街角で犯したケチな罪、壊したバイク、カッター、君の待つ西、3区、吸殻と掃き溜めの匂い、落ちたライター。
 アカミミが泣いてる。五時のサイレン。背中のシミ。黒いテーブル。あまり進まないジムビーム。ペイブメントのCD。テレビはクッキーモンスター。赤い冷蔵庫。腹痛。アレックス、軽薄。座る場所を探して彷徨う、イヤホンの外れた中年の男。
 「悪い子だな」
 「大人をからかうなよ」

 ラベンダーは枯れたし、ピザは冷えたし、ビールの炭酸は抜けたし、レコードはずっと同じ場所で音飛びしてるし、窓の外は変わらない景色だし、煙草は心から灰になったし。
 ベンハムの独楽、オレンジピール、君の望む戯言、非常階段、喉から血、青い発光ダイオード、海月の水槽……僕は疲れた。秋の朝露が鮮やかに傷つけられた。本当に疲れた。美しさとやらに敗北した。

 雨の街角で彼女は、赤い、ヒールの折れた靴を肩に担いで裸足で歩いていた。その膝の裏は愛らしく、履いていたときより綺麗だと言った。
 信じられないほど口を曲げ、エナメルのバッグで叩かれた。
 本当のことを言うと必ず人を叩く女だった。

 何言っても負け犬なんだろう? 僕より君を騙すのが上手い、ただそれだけの奴さ。
 それがお望みと知ってはいたが、僕は些か、いつも、誠実すぎた。変わることもない。
 「犬は、好きだよ」

 変わらずにインストゥルメンタルは腰を振っている、変わらずに歯車は罪を叫んでいる、変わらずに臓器は涙を流している、変わらずにエンジンは煙を吐いている、変わらずに電波塔は恨みを嘶いている、変わらずに僕は歯軋りをしている。

 草むらに転がる骨の鍵で君の扉を開けるんだ、枯葉の浮いたシャンパン、人形ばかりの国、葬列、真紅の傘が揺れる、鐘の音、鳥で真っ黒の空、油膜のような色の風船、迷い子のように浮いていく、液体窒素が肝臓に流れ込む。寒気。

 空っぽのベッドに登り、僕は思う。天蓋から見える月に腰掛ける。
 笑うことも憎むことも愛すことも簡単なんだ、ただ許すことだけが難しい。
 ウェンディ、それに気付いているのはきっと君だけ。
 君を忘れたくないから、君を許しはしないよ。

 「君なんかが僕を助けられるとでも思っているのか!」
 アラクノフォビア、君が美しいなら、何故今夜、君は独りでいるの。
 濡れた犬のような酷い匂いの通りを抜けて、君のアパートの郵便受けに頼まれていたカセットを入れた。
 その帰り、ボリス・ヴィアンの唄がやけに頭の中で煩かった。
 「生まれてきてごめんなさいと言え! さあ早く!」

 肺に蓮の咲いたマリの手を引いて、線路の上を走った。トンネルを抜ける頃、二人は旅の終わりを予感していた。夢を待っていた。

 放課後のピアノ。
 握り締めた缶コーヒー。
 刺繍、土竜の死体。
 カンバスの無いアトリエ。
 手慰みのギター、マーマレード。

 味のしないパンが好きだった。
 味のしないソフト麺が好きだった。
 味のしないスープが好きだった。
 味のしないあの娘が好きだった。
 早く食べないと先生に殺されるから。
 遊ばないなら帰って。

 「人を傷つけるときぐらい泣くの辞めろや。卑怯な奴のすることだろが」

 「周りが退屈なんじゃなくてさー」
 「君が人から退屈を引き出すのが」
 「天才的に上手いだけだよね」
 「まぁ、実際どこを切り取っても退屈な人間も多いけどさ」

 隣の部屋では昨日も空騒ぎ、僕はソレを聞きながら、水色の悪夢を眺め、君のうなじの産毛を思い出し、おでこにキスした思い出を持て余した。
 いつ君の首に噛み付こう、いつ君の忘れ方を知るだろう、いつ君の愛した歌を殺すだろう。
 処女性は冷酷に解体されていく。君のはしゃぐ声に僕は雨音と、さよならの余韻を感じる。パーティは終わる。酒は切れる。カーテンは閉まる。


 「半身を引き裂かれる痛みというのは、泣き喚くよりもむしろ、呆然と……幽鬼のように落ち窪み、青空に敗北感を抱く気持ち」
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Märchen

07 15, 2015 |

 ティナ、君のこめかみを刳り貫いてペニスをぶち込みたいよ。
 親権を母親に取られて、ろくに我が子にも会えない父親が精一杯選んだプレゼント。クリスマス。
 蟲の音、轟音、蟲音、蝉音、ジェット機、青空、耳鳴り、音、音、音、音。
 阿婆擦れ、大陰唇が黒く伸びきった阿婆擦れ、低ノイズの精液、僕の加工物、君の好物。
 「リタ、リタ、リンリン、リタリンリン、メタン、嘘吐き……」
 打ちあがる花火が橋の上、火のついた犬がそこらじゅう転げ回る。盲目の少女は片耳を焼かれ、彼にキスをせがむ、愛されるという確信が疎ましい。
 乳房にチョコとラズベリージャムを塗りたくって舐め取る。君が嫌い、君が嫌い。カルキ臭い。工場の廃液。B品。

 クソ寒い日、街灯の下、ポルノ自販機を破壊して商品を先輩に売った。その金で円光してる同級生を買ったT。
 そのときのハメ撮りも先輩に売って、またそいつを買った。内腿のニキビが可愛くて血が出るまで齧ったT。
 口と耳と目から蛞蝓が湧き出してくる、僕の体内を食い破って生を得る、愛くるしい関節。インクが滲む。
 蝉の音が煩いよ、つんざく様に煩いよ。見られながら君はジュースが溢れ続け、Mのやり過ぎでふにゃふにゃのアレ、葉っぱは忘れ、最悪だった暑さ。
 瞼が薄いから、血管が浮かんでマスカラ要らずな瞳にイカれてた。

 ああ、出たよ。思考はいつか言葉になるとか、くだらないこと云う輩が。お前がそんなくだらないことを云わなきゃ、死ねと思わずに済んだのに。
 うるせえ婆、黙れデブ、引っ込めクズ、臭いんだよ、とにかく臭いんだ、虫唾が走るんだ。怒りのミミズが体の内側を棘つきながら暴れて、痒くてたまらないんだ。引きちぎりたくなる血管。
 自らの意思で自らを傷つけるその姿のなんと美しいことか、その血を流すな、くつくつと喉を鳴らし、へばり付く瘡蓋。胸を掻き毟ってまだらな体液を搾り出して。
 Wxxd、ウェルテル、ウェンディ、温かい母乳。

 有り触れた言葉や理想や行動が、有り触れない君を狂わせていくんだね。
 跪いて頭を垂れ、呪詛のように愛をせがむ、アリシア、無様な奴、君は色白で傷が良く似合うが、何もないと痣になるまで殴りたくなる。
 「渇ききったミッキーを舐めろ。二つの丸い耳付きの。皺が寄ったミッキーマウス。
 冬の日の公園、午前一時のクンニ、流星群、ゴムの匂い、鼻血に染まるエンジニアブーツ」

 秋晴れの農場、フロントガラスを煉瓦で割る、白いヒビは蜘蛛の巣のよう、お前はまともじゃないよ。蜥蜴の骨が見てた。
 この街の人間はとっくに知っている、分かりきった話しかしない。死んでいるのと同じだ。

 冬は想い出が沢山ある。自分の頭をかち割りたくなるような大事な大事な想い出が。
 小学校の通学路にあった、コンクリート工場に忍び込んで誰かがセックス。
 掴んだ柵は錆びてパキパキと砕けていく。バックで突くたび、いつ落ちるかと危ぶむんだけど、全然辞める気は無かったし、いっそ君だけ落ちてしまえばいいと思っていた。
 「あのとき本当に綺麗だったのは君だけ、でも今はブスだね」
 君の彼氏が怒り狂う顔が見たくて、何度も中出しした。何度も何度も何度も何度も。君の彼氏嫌いだったんだ、僕。
 死ぬときは子宮を引きずり出して眺めているのも一興かな。君はもうブスになったけど、子宮は多分美人のままだよ。きっとね。
 嫉妬に狂ったスペルマって、酸っぱくて美味しいんだってさ。

 楽しく過ごすことに不満はないよ。
 ただ時々、そんな景色がストロボで明滅して止まらなくなって、稲を刈り取った田園で叫び続けて、誰かを殴って僕かそいつかの心の芯がズタズタにならないと気が済まなくなるときがあるんだ。

 換気扇の音、ボイラーの音、ヒーターの音、湯沸かし器の音、心臓の音、冷蔵庫の音、ブラウン管の音、水浸しの君の股間の音、真空管の音、嘔吐。
 メーテルリンク、モーリス、君のディアンドル姿、カルテル漬けのリンク、リンク。アヌスに刺さった黒い胆汁が流れるカテーテル、タール。スワロウテイル。起こさないで。眠ってばかりいる、出るのはケロイド、反吐、イド、バルドー、ヘネシー、青白いウィノナ。

 ……ああ、またその話? なんで違う他人から何度も同じ話を聞かなきゃいけないんだろう。お前らはどこから湧いてきたんだ、コピー機か?
 ロバートスミスもトムウェイツもジェフバックリィはいつも違う話を聞かせてくれるのに。
 変な顔。

 「へぇ、楽器やってるの、そう。まず顔と頭のチューニング先にした方がいいと思うけど。あと服がダサいよ。ごめん、体型もか」

 今日も排水溝、今日も排水溝、今日も排水溝、僕の意識が溶けた経血が今日も排水溝。に流れる。るん、るん、る。
 僕に命乞いをさせてください。
 君に肩からタックルして、僕が手榴弾みたいに木っ端微塵に砕け散ったらなぁ! その飛沫を君に沢山浴びせられるのに、出来ることといったらコレだけなんだ。コレ。

 背中の引っかき傷をなぞる度、君の悲鳴が聞こえる気がする。電波塔。給水塔。アレン・ギンズバーグ、心療内科のBGM、アンダルシアの犬の涙、モンマルトルの浮浪者、路地裏で天使が死んでた。
 サーカスのブランコ乗りに恋をしました。遥か頭上を軽やかに行き来する君に見とれていました。星よりも綺麗だった。
 いつまでも変わらずに愛してくれる? 青林檎を捧げます、いつしかナイフは突き立てられ、そこから蛆が湧き、ぐじゅぐじゅになった果汁がいつまでも滴って、ゴキブリが群がっていました。ゴキブリを潰すと紫の血が広がりました。
 別に泣いてなんかいないよ、何を泣くことがある、煙草の煙が目に入っただけ、泣いたりなんかしないよ。

 どうしてそんなに寂しそうに笑うんだ。黙れよクソ蟲。謝れゴミ蟲。
 電話越しに聞こえる君のあえぎ声、吐き気がする。猫なで声が癪に障る。
 イッタ?イッタ?ドウシテイッテクレナイノ、ナニモって煩いんだ。初めからナニモ無いってんだよ。

 どす黒い傷口から茶色い染みが滲み出てきている。12針の辛辣な自虐。
 慌しくパーティの準備をして、素面の君は涎を垂らし、僕は震える奥歯を噛み締め、口の中にじわりと鉄の味が染み渡る。
 病院に行った方がいい……。

 独りになりたい、独りになりたいこんな日に、君に出逢ってしまいたい。空いたその手で子宮を握りつぶしたい。冷や汗と白い息が、赤らんだ小指の第二関節に突き刺さる。
 月に突き刺さる僕の吐息、冬の日の残像、面影、フィルムに焼きついた黒い血。
 血の気が引いていく。ぐるりと腹の中で胃液がのた打ち回る音がする。胃酸過多。
 「夕食はチキンなの、帰っておいで、エリ」
 「独りぼっち気分はもうおしまいだよ」

 アルコホリック。
 感じる。
 支離滅裂な死。
 詩を読んでよ。
 覚醒した後悔。

 元気出してって言った。アンドゥ。それ、どこで売ってるのって聞いた。
 空がね、蒼すぎるんだ。僕はね、骨になりたいんだ。アンドゥ聞いて。
 僕は子供たちが廃線を歩いて、トンネルの中見つける骨になりたいんだ。草に覆われ、ムカデが這う、木の枝に似た骨。
 僕らはモーテルで元気を探した。どこにもなかった。16の骨だった。

 「世界で自分が一番醜いだなんて、自惚れも大概にしてよ、って感じ」

 君のレッテル張りっていつも驚くぐらい外れてるから、こっちが恥ずかしくなるんだ。
 小さい頃壁に頭突きしすぎたんじゃない?

 ヴィレバンで手作りのシュシュを売ってたあの子はどうしたんだろう、屋上から「いっせーの」しようと言ってたあの子は。
 生き残るってかっこ悪いよね。生きるのってかっこ悪いんだ。嫌になるよね。癖になるよね。

 嫌なものから目を背けて、蓋をして、遠ざけて、見ないフリをして、自分はまだ大丈夫、まだ大丈夫って言い聞かせて、合わない歯の根、逃げたい逃げたい帰りたい帰りたいって、イカの様な目つきで夜の街を歩いて、何も変わらないさ。
 学校に馴染まないあの、中々気持ちのいいあの少女、なんてったっけ、いつもさ、ああいう子がさ、とっとと相手見つけて出来婚して、これが外れでサ、同じぐらいの速さでささっとリコンして、子供を育てるんだな。カッコいいじゃん。苦労してさ。エロいよね。でもまたバツイチを使い捨て目的で漁ってる奴に釣られるんだよね、バカだよね。笑っちゃうよ。悪者なんていないけどさ、子供からしたられっきとした悪者だよね。客観的に見ての話だよ。馴染めなかった理由が結局さ、頭悪かったから、なんて、そんなふざけたことがあるかよって。そんなの無いよね。そうじゃないってことを証明し続けてほしいよね。
 「相も変わらず車のバックミラーにドリームキャッチャー、お前アホだろ」

 「メルテ、メーテル、メルテル、カルテル、カテーテル、カイテル、メルトダウン、ハーヴェイ」

 ゴダール、ベルイマン、ハシシ、ジャズ、ジャームッシュ、エヴァンスのピアノ、ピアフの歌、タール、勝手にしやがれ、ダリ、片足が無い犬、アロノフスキー、案山子、ヴェンダーズ、ベルリン、スピード、カラックス、汚れた血、醜い血が僕に流れている、血が痒い、惨めだ、惨めだ、モダンラブだ、ボウイの、美しく生きたいって誓った、自分が許せない、ラ・ラ・ラ。
 コッポラ、シャルロット、ランブルフィッシュ、ゲンスブール、ガラスの墓標、マリアの受胎、破瓜、麗らかな午後、純白のワンピースを汚さず眠るように死ぬ。

 「覚え方は沢山教わったけど、忘れ方は誰も教えてくれなかったよね」
 「ドラクエやポケモンで一番使ってみたい技がそれだったな、俺」

 自分は狂ってるからこんなに駄目なんだ、という確証が欲しくて薬や煙草や酒やセックスに走る愛おしい人たち。
 君達の寝顔はとっても可愛い。
 何が言いたいかって言うと、僕より早く寝るなよ。寂しいじゃないか。
 考えすぎだよって僕も笑った。それは癖だから治らないんだろ。

 誰も居ないスケート場で血を吐きたいです!
 この際トマトケチャップでもアンチョビでもピクルスでもいいや!
 「「とにかくもう、寒空のテニスコートで、とろけたピザと溶けかけの錠剤を吐くのは真っ平だってば!」」

 Märchenの痣。帝王切開の縫い傷。
 Märchenの生き血。

メロディ論 -リメロ-

07 02, 2015 | たわ言

 理論武装という奴が好きじゃない。
 何かを否定するときに「これは○○だから駄目だ」みたいな言い方が嫌いだ。厳密に言うと、嫌いな奴がよくやるから嫌いだ。
 そういう奴は何かを褒めるときも、せせこましくて鬱陶しい理屈をつけて理解した気になるから虫唾が走る。
 何かを褒めるときも、けなすときも、うっせーバカ!でいいんだぜ。
 うっせーバカ!
 が、名前をつけないと些か不便なときもある。
 名前というのは必要に駆られて付けるものであり、また、特に意味の無いものでもある。
 それを記号と言う。
 名前は記号だ。
 言葉は記号だ。必要に駆られて付けた、意味の無いものなのだ。

 というわけで今回は、巷のアホどもがごちゃごちゃと血迷っているメロディについて記号を並べよう。

 メロディはおよそ三つの種類に大別される。
 ・耳馴染みのいいメロディ
 ・耳障りのいいメロディ
 ・耳に残るメロディ
 の三つだ。
 言葉は似ているが意味は全く違うので辞書を引くように。
 この世に存在する最も賢く、もっともくだらない本、辞書を引くように。

 これを分かりやすく、わざわざ巷のアホが使う言葉に書き下してやると、こうなる。
 ・ポップなメロディ
 ・キャッチーなメロディ
 ・オリジナリティのあるメロディ
 ポップは大衆性に富む、キャッチーは和声的に合理的と理解してくれ。
 無論これはバッサリと分かれているわけではなく、一つ一つのメロディにトライアングルのパラメーターとして内蔵されている。
 RPGのステータスだ。ポップが攻撃力、キャッチーが防御力、オリジナリティが運だと置き換えると分かりやすいかな?
 無論これらはゲームじゃないので、操作するプレイヤーのステータスがモロに反映される。歌唱力と声質だ。同じ人間が歌っても攻撃力はコロコロ変わる。

 たまに言及しているが、この、ポピュラリティとオリジナリティの混同が音楽の文化に多大なダメージを与えている。
 アホがアホのくせに理屈をこねてるからだ。うっせーバカ!
 ここで、分かりやすく整理するために一つの概念を提唱したい。

 リフとメロディの融合、リメロ(Re-Melo)という概念だ。

 そもそも、音楽を語る上でリフという概念は最重要課題と言っても過言ではない。イントロが耳に残れば音楽は勝ちだ。
 ダダダーン! 運命。
 負けた……運命に負けた……。

 何の話だっけ。
 そう、リフ。
 僕の愛好するオルタナティブロック(面倒だから、その時代主流じゃないロックという意味で使わせてもらう)は、大衆に歯向かうロックという命題を掲げながら、常に大衆性を獲得する土台で戦っている。
 分かりやすく言うと、ロックが流行ると「ロックは死んだ」、パンクが流行ると「パンクは死んだ」、「グランジは死んだ」、「メタルはいつの間にか死んでた」「かと思えば生きてた」と言いたがるメンタリティだ。メタル好きの人はごめんなさい。
 流行り物に飛びつくのは嫌いだけど、実際めっちゃ気になるというのがロックとして最も健全な精神だと思うわけですね。ハイ。
 この二律背反と立ち向かいながら生まれる大衆性が、所謂リフなわけだよ。
 だからその辺、クラシックの中ではベートーヴェンが一番オルタナだなと思う。彼の曲は、クラシック(室内音楽)には珍しいぐらいリフ尽くしだ。はっきり言って疲れる。
 あと、印象派のサティやドビュッシーにもリフの精神が流れていることを余談で明記しておこう。

 リフが無ければロックじゃない!
 しかしメロディが無ければ音楽ですらない!
 この矛盾をコロンブスの卵的に解決したのがリメロ。メロディがリフになればいいんだ! 覚えやすいしカッコいい! 曲もゴチャゴチャしない! あったまいー! 省エネ! ま゛っ!!
 オルタナはこのリメロの宝庫、と言いたいが、ポップスも平気でリメロが多いから困る。
 ジョン・オズボーンのOne of usとか。
 スザンヌ・ヴェガのLukaとか。(僕はNo cheap Thrillの方が好きだけど)
 Blessid Union Of Souls I Believe
 The La's There She Goes
 Minnie Riperton Loving you
 Stevie Wonder  Isn't She Lovely
 Me & My Dub-I-Dub
 ミッシェル・ポルナレフ シェリーに口づけ
 a-ha Take On Me
 ABBA Dancing Queen
 Jimmy Cliff I Can See Clearly Now(映像はクール・ランニング。好きな映画だ)
 Jigsaw  Sky High
 サイモン&ガーファンクル Mrs.Robinson(スカボロー・フェアじゃないのがミソだよ)
 カーマは気まぐれとかね。
 どこに才能(金)が集まってるか分かりやすいですね。別に懐メロを紹介してるんじゃないぞ? リメロだ、リメロ。
 あと一発屋が多いのも気にするな。一発の花火がでかすぎただけだ。

 個人的に紹介したりないのでこの辺も、、、
 Jellyfish New Mistake
 Komm,susserTod
 ザ・ロータス・イーターズ The First picture of you
 ニュー・オーダー Regret
 The Style Council Shout To The Top(僕もこういうグラサンが似合う男になりたい、、、)
 Earth,Wind & Fire SEPTEMBER(映画「最強のふたり」のOPがこれでクソ上がった)
 The Flaming Lips  Race For The Prize(これはトランペットも唄ってるからね)
 The Cure Boys Don't Cry
 Elvis Costello Veronica
 Sixpence None The Richer Kiss Me(まぁ好きかと言われたら別に、、、こいつらのLa'sのカヴァーはクソ)
 The Boo Radleys Wake up Boo!
 Bôa Duvet(間奏が超いい。唄はどうでもいい)
 大江千里 夏の決心
 Lemonheads Mrs Robinson(サイモン&ガーファンクルのカヴァー。この手法の方が泣きが目立つ。PVは元祖花嫁をさらう映画「卒業」)
 R.E.M. Nightswimming
 疲れたからこの辺で辞めよう。気が向いたら追加すると思う。
 段々リメロ関係ねーじゃんっていうツッコミはやめてくれ。あ、うっせーバカ!
 リメロの前にはジャンルなど下らない。
 唯一共通するのは、鼻にツンとくる強烈な泣きが入ってること。(入ってないのもあるけど……)
 哀しさの中に明るさが、明るさの中にどうしうもないやるせなさが美しく内包されている。
 昨今乱用される「エモい」とかの言葉とは一緒にしないでくれよ?

 日本は歌謡曲の下地が根強いのでこのリメロが全く浸透しないが、ミッシェルなんかは大いにリメロだと思います。Syrup16gとかArt-schoolとかモーサムとか。
 あとポップスでは山下達郎と大滝詠一、たま。(たまは個人的にバンドというよりポップス)
 僕はメロコアが殺せるものなら殺したいほど嫌いなんだけど、もう一回言うけど、メロコア好きは皆鼓膜が腐りきって脳みそまで蛆が湧いてると断言できるほど嫌いなんだけど、彼らにはリメロというものが何一つ存在しないんだな、これが。メロコア好きの人はごめんなさい。バカめ。
 もっと言うと、昔からハイスタとブルーハーツ大嫌いなんだよ。もうね、ウザい。なんであんなのがもてはやされてたのか全然分からない。ブルーハーツはまだいい曲もあるけど。マーシーが唄う奴とか。あと歌詞は認めるよ。ハイスタがマジで無い。全く無い。

 これからは駄目なメロディを聴いたら「これはリメロじゃないね」って言って下さい。
 言われた方はうっせーバカ!って言って下さい。
 これで今回の先生の授業は終わりです。打ち切りだなこれは。