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鳩 正義

Author:鳩 正義
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12月未明@両国SUNRIZE


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エル・マリアッチ / デスペラード / デッドマン / メリーに首ったけ / 愛してる、愛してない…

03 30, 2016 | カルチャー

 エル・マリアッチ
 もともとレジェンド・オブ・メキシコが見たくて、そしたら一作目の作品がなんと7000ドルという超低予算で作られた映画と聞いて、それから見てみた。
 マリアッチという、歌とギターで日銭を稼いで放浪する(いわゆる”流し”ですな)主人公が、ひょんな誤解からヤクの売人に狙われる、という話。
 途中で誤解が半ば真実へとすり替わり、ギターではなく銃を持って大暴れ、なんて話。ギターケースを開けたら銃、というアイディアが渋い。

 到底7000ドルとは思えない優れた出来だったが、インディーズ映画、もっと言うとB級映画の枠は出ていないな、というのが正直な感想。アイディア自体がB級なのは置いといて。
 まぁやっぱり映画というものは人間が登場人物なので、役者の質が握ってるんだなと。
 ただ、チープながらも洗練された演出やプロットだけでここまで映画足りえるんだな、というのに驚いた。
 「映画っぽさ」、もとい「作品っぽさ」がどこから来てるかが興味深いところだ。きっと、それを指して「技術」と呼ぶのだろうね。

 映画の内容より、どちらかというと、特典映像の「いかにして7000ドルでこの映画を撮ったか」、という監督の10分間の説明が面白かった。
 コンセプトが弱いと判断がつかず、金だけがどんどん浪費されて無駄でぱっとしないカットばかりになるんだな、ということ。これはもう創作全般に言えることだね。
 アイディアと見せ方さえ把握して、ビジョンを見据えていれば、お金も10分の1ぐらいには抑えられると思う。
 安上がりなものの魅力をどう浮き彫りにするか、豪華な一点モノをどう再現するか。金さえあれば豪華なものが作れるっていうのは欺瞞と傲慢だね。
 なんてことを考えさせられる映画だった。

 デスペラード
 上記のエル・マリアッチがヒットして、予算が出たので作られた映画。半リメイク、半続編といった具合だ。制作費は700万ドルだそうなので、なんと前作の1000倍。面白さも1000倍といきたいとこだが、そんな上手い話はなかった。無念。
 でも主人公がアントニオ・バンデラスに変わって、それだけで映画の質が50%ぐらい上がった。ホントに。目力って重要だな……。
 「作品っぽさ」というものを捉えたクリエイターが、潤滑な予算を手にすると、ここまで想像力が飛ぶよ、という。
 話の内容は前作と同じでなんとなくアホっぽい、娯楽映画だな! って感じだけど。エル・マリアッチを見た後だと妙に親近感が沸いてしまう。あの子がこんなに立派になったのかぁ、みたいな。変な楽しみ方だ。
 ギターケースを開けたら銃、というアイディアが更に進化して、ギターケース自体がロケット砲、マシンガン、というおバカ度に磨きがかかった内容。
 肝心のレジェンド・オブ・メキシコはまだ見れていないが、期待が高まるばかりだ。初めから見てよかった。

 デッドマン
 奇妙でリリカルな映画の名手、ジム・ジャームッシュ。白黒映像とジョニー・デップで描かれる耽美な映像。
 ざっくり言うと、仕事にあぶれた会計士ウィリアム・ブレイクがインディアンのお告げみたいなもので一流の銃士にして詩人へと昇華していく、という意味不明なストーリー。
 ウィリアム・ブレイクという実在の詩人がいるのだけど、体制に猛反発したその生き様を、ジャームッシュなりに投影して描いた作品と捉えると分かりやすい。
 インディアンや指名手配される主人公、ボートで海へ流されるラストシーンはその顕著な隠喩ではないだろーか。
 けど実際その辺はどうでもよくて、オドオドした眼鏡のデップが研ぎ澄まされた刃へと変貌していく様が単純に美しい。
 心臓の隣に弾丸が寄り添う男が、詩人へとなっていくお話、それだけでとっても綺麗だと思わないかい。

 余談だが、デップの顔が僕はいまいち覚えられない。格好いいんだけど、目を離すとすぐに印象がぼやける。僕だけか?
 僕はこの特色こそ魅力だと思っているので、某カリビアンみたいな極端なデフォルメが効いたキャラはむしろデップにはミスマッチだと思う。
 没人間性、という意味ではシザー・ハンズはうってつけだけど。なんとも言いがたいね、この辺は。

 メリーに首ったけ
 久々に見直してみた。ラブコメの中でもこれが妙に好き。
 キャメロン・ディアスの魅力もそうだけど、それに奔走する男達の情けなさ、悲喜こもごもが見てて楽しいやら切ないやら。
 恋の至上の形は片思いだと僕は思っている、その馬鹿馬鹿しさと初々しさと健気さがたまらないね。
 恋愛において女はプロフェッショナル、男は永遠に素人だからね。

 愛してる、愛してない…
 ラブコメ……? アメリで有名になったオドレイ・トトゥのサイコサスペンスロマンス。
 正直あまり褒めるところがないな……怖がるのもいいけど、どちらかというとポップコーン食べながらハハハって笑うタイプだと思う。
 既婚男性に恋する女が、別れてくれないってんで段々様子がおかしくなっていく話。それだけなら別に普通だけど、別れてくれない理由に、話の最初から奇妙な違和感があって、その理由はなんだ? みたいなのが見所。
 うーん。あ、とりあえずこれは個人的には片思いにカウントしないです。
 フランス映画のくせにフランクすぎるんだよ、まったく。もっと硬水のようにふんわりと喉につっかかるような感じが欲しいね。それでこそ見た甲斐があるってもんだ。
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4~5月Ghetto

03 30, 2016 | ライブ

4月と5月のライブを画像一枚にまとめてみました。
フライヤー
これケイゾクできればいいけど、そんな根気や時間が僕に果たしてあるのだろうか?
作るのは簡単だけど……まぁいいか。ヨロシク。

OIL

03 23, 2016 | 歌詞

濡れて光る 犬のよう
震える性器 赤いハイヒール
魚のいない その水槽
割れたタイルと 鉄格子

汚物まみれでも
お前の指図は 受けない

花の毒に 化膿して
排気ガスは 悪い癖をまた再発させる
計画通り 嘘をついた
もう眼球は がらんどう

人体模型と愛し合って
思考はいつも、切れたオイル
排水溝に堕ちていった
鳥達が泣いた、濡れたオイル

五月蝿い五月蝿い いつも嘘くさい
消えない消えない いつも黴臭い

(Ghetto)

MOON

03 23, 2016 | 歌詞

荒野に咲いた芍薬の花
街角を照らすネオンライト
鮮やかに疵は治っていく
変われないのは君のせいじゃないよ

まだ揺れてる?

錆びた月から零れた涙
行き先亡くして海を渡る
手遅れと言えばとっくにそう
貨物列車は宇宙まで行けないよ

まだ笑える?

そばにいてよ、今夜だけは
ねえ聞こえるよ、君の憂鬱が
そばにいてよ、今夜だけは
ねえよく見えるよ、君の傷跡が

(Ghetto)

ペレストロイカ

03 23, 2016 | 歌詞

告げよ別れ
深海に果てず

生きとし絶やせど
望み浮腫む

再生示せば
呼吸(いき)立つ声と

眩む情景は
目を 重む

ペレストロイカ
海ヲ臨ム川
ペレストロイカ
今ニモ崩レ落チテイキソウダカラ

ペレストロイカ
川ヲ望ム雨
ペレストロイカ
今カラ再度、構築サレテイク

(Ghetto)

※ドラム川サキから提供してもらったものに、僕が一部書き足した。

RUST

03 23, 2016 | 歌詞

ラブホテルの鏡に映る
厚化粧の裸の男
ペニスに指輪はめて
口から糞を垂れ流した

リバティプラザの屋上で、天使が降り立つのを受け止めた
腐った看板にしこたまオレンジぶつけて、日が暮れたらコーラを吸った
腑抜けたチンピラがダルい音楽爆音で流すワゴン
目を伏せて通り過ぎるつもりだった、でもミーシャがナイフをくれた

日増しに色は消えていく
最後に残った血の赤さと
溺れ行く女の子宮で
精液の白が混ざって錆びた

ギブスとベルトが軋む音に心拍数は嫌でも重なり
人の形を維持するために、ブロイラーを死ぬほど食べた
狂犬病がこぼす涎、朝日で起きる禁断症状
隣の主婦にお花を売りつけ、ミーシャは鈴のように笑う

ずっと見つめていた天井 指折り数えていたの
モザイクが腫れていく 鉄の船、汽笛の音
調教された君の記憶 半透明の心臓が
愛しさに溺れて 街を焼き尽くしていく

虐げる 顔と顔 清掃業 僕は正常位
見覚えのない部屋 痘痕と見紛うキスマーク
ジルサンダーのワンピース よく似合っていたあの子
不妊治療の果てに翼を無くした

ずっと見つめていた天井 指折り数えていたの
モザイクが腫れていく 鉄の船、汽笛の音
調教された君の記憶 半透明の心臓が
虚しさに焦がれて 街を焼き尽くしていく

そろそろ手を離して
何の為に踊ってたんだよ

(Ghetto)

Ghetto新体制の

03 22, 2016 | 日常

Ghetto3人

 3人のプロフィール画像を作りました。それに伴いHPもいくつか更新しておきました。
 ライブ情報はそれなりにズボラです……。
 よくよく考えたらリズム隊二人とも、戸籍では女性ですね。(戸籍では)←やまびこ
 瑣末なことですけどね。この二人、大体において僕より男らしい……。

 僕は今後はとりあえずこの3人での活動を中心にするつもりだ。
 折角ソロも調子に乗ってきて勿体無いと言われるかもしれないが、別に自分のソロが好きかと言われると、正直そうでもない……。
 弾き語りが見れる人はレアでありがたいものだと思ってくれ。
 常に新しいことを、とまではいかないが、バンドの後発としてたまにソロをすることで、何かまた生まれるかもしれない。
 生まれないかもしれない!!(濃厚)
 とりあえずピントを絞ることが大事、大事。

墓を壊した、金魚の墓を。同情した。

03 13, 2016 |

 天使の囀り、ピアノ、硝子の割れる、音が聞こえる、可愛い朝が来る。
 スコッチのロック、オリーブ、エバーグリーンの詩集……哀しいことがあった。
 棺には懐中時計を差し入れ、空中で枕は撃たれる、羽根が散る、虹が枯れる、降り注ぐ、蛇が首をもたげる、陽差しの下敷きになる。

 アア、光、アア、嘔吐、地下室、蜘蛛の巣、窓、埃、喪服、アア、むし、むし、むし

 エンベロープ、ベロシティ、インピーダンス、ローミッド、エンハンサー、インシュリン、眠る春ライオン、デチューン、グリッチ、後ずさるナンシー、コリジョンコース

 嫌な匂いがする。周りにも自分からも。何か思い出しそう……友だちの家で迎えを待つ、腹ばいで嗅いだカーペット。
 虫眼鏡で覗いた。猫の毛玉と白い……ああ、これまんこの周りについてるやつだ。
 これはスナックの食べカス。
 これは新聞の切れ端。
 これは蜥蜴の尻尾、干からびた、嫌な匂いがする、酷く懐かしい、胃袋を雑巾でも絞るようにねじ切りそうな……

 彼は生きた。誰よりも強く、儚く、そして美しく生きた。そして誰よりも惨めに死んだ。彼女は泣いた。
 何度も泣いて、泣くだけ泣いて、最後には彼のことを忘れた。
 それが約束だった。

 空っぽのオーケストラに指揮棒を振る。隣の部屋からはあえぎ声、トイレの汚物入れ、蓋が開いて覗くコンドーム、シンナー臭い。
 雨の中ピエロは化粧を落としながら、張り付いた笑顔は泣いている。
 義足のバレリーナ、足がなくてもワルツは踊れる、君と最後のダンスを、トゥには未消化のトマト。
 放課後の礼拝、ベンチには幽霊がいる、写真の中では変わらないさ。シャッターを切った。

 この時計は壊れていて、オルゴールは決まってあるところで不協和音で、僕は抱きしめる、寄り添った、バネは飛び散り歯車が飛び出す、キリキリと軋む。
 30分だけ君と本当の恋人になりたい。アンコールは終わり、最後まで残る拍手はいつも君じゃない。
 いつも君じゃないといけないが、それはパーソナルな感覚ではない。僕ではない。
 「記憶を失って、また君と二人、恋に堕ちたら。
 そのときは本当のことを話せるんじゃないかって、信じていたんです」

 気泡の沈む骨と白髪に濡れて、四肢はウロコに覆われて、月がよると銃撃戦をして、ここは戦場なんだ、その返り血の中で毛布にくるまり、シケモクをまわして吸い、鎖骨に蜂蜜を塗りたくり、へその下に灰と書く。
 なんでお前がおかしいか教えてあげよう。
 いっぱいいるからだよ。缶詰だぜ。缶切りは偉いんだ、缶詰は下。れっきとして下なんだなぁ。見下しても哀れんでもいない。
 単に下。
 嬉しいだろ? 俺は缶切りだから、苛々するよ。

 FAXからピロピロと出てくる惨めな劣化コピーを見るにつけ、全身が萎んで押し花になりそうなほど溜息が出る。
 歩行者信号の下にウンザリするほどいる。
 どれもみな痘痕のような、頬の垂れ下がった、少女のフリをした老婆だ。
 一緒くたに言いたくない、バカに見えるからな、でも実際鼻が垂れるほど一緒なんだな。
 キャッチボールしよう? あの崖にボールを投げるから拾ってこい。
 早く落ちろ。

 「お前はイイヤツだな。ケツが可愛いからな。小尻の方がいいわアジアンは。どうせ年取ったら崩れるしよ。ツンと上向いてるのもいいけど、なんつうか、殴りたくなるよな。握りつぶしたら蜜柑みたいになるかな。それを考えるのは少しワクワクするんだけど、やっぱり、いいかなって思ったりする。まぁ、たまにな」

 承認して欲しい割りに、君の書類にはその判子を押す欄が無いんだけど……やる気ないの?
 それとも認めて欲しいわけじゃない、愛されたいわけじゃない、必要とされたいわけじゃないってか?
 それは別にいいけど、そうじゃないからよくないよね。嘘は上手くつかないと、処刑人が動き出すよ。
 ギョロ目で口が臭いんだ、歯茎なんか腐ったような色してるし、早くしろよ。

 水風船を2人で8階から落としただろう? 爆撃ごっこでさ。
 びしゃって水が広がって綺麗だったよな。人が落ちてもきっとああなるんだな、と僕は思ったよ。
 それで中の一つが運悪く近所のオバサンに当たりかけて、メチャクチャ怒られたよな。
 お前だけ。お前がそそのかしたんだろうって。ね。
 ゴミステーションでゴム人形を拾ってきて、2人で遊んできたときもお前だけ殴られてたな。どっから盗んできたんだって。
 別に同情はしてなかったけど。
 してなかったけど……んん、いいか。

 「見えるけど、傷は癒えるけど、大丈夫かい、血を流したままでいれるかい、何でもいいのに嫌いじゃないからってそれだけの理由でいいよ」

 人買い、売人、立ちんぼ、胡蝶蘭、夕闇通りに幻が訪れる。
 「お前あそこくせえよ、ちゃんと洗え。お前に蒼を一つあげるよ」
 チェックの靴下、ローファー、ピルグリム、新譜、蟷螂、ショバ代、鉈、ベースマン、金のブレスレット、改造人間、火炎放射器、心療内科、脱獄、煙突、マフラー、寒いね、そうだよ、見間違い、苦しむ顔、鉄パイプ、レンチ、爪剥ぎ、チンポ、デッドストック、路面電車、カッパドギア、ランブルフィッシュ、苦い苦い粉薬、ピザの宅配、シケた煙草、はァー……ァー……
 冬晴れ、チョコを齧る。同じ街でも腐って見える。缶コーヒー、ポケットの中でくだを巻く。牡丹雪、可哀相だな。
 落ちてきそうだな。
 5Bの鉛筆をよく使った。何度も往復する。君の腹の上を。その度に色は濃くなる。
 水差しに太陽が透けて、手術が終わった。

 本屋、画集を探しに来ていた。デザイン集の棚の間。そこで金属バットを振りかぶる。
 パンとチキンとを買って1961年、紙袋はチャリンコが跳ねた水と泥のシミが底にへばりついてる、9号室に帰る。デリの向かいまで。
 途中モーテルの雇われコールガールが元気?って肩を叩いた、元気、元気。お巡りはアイスを食べていた。
 ピンセットで切り傷に付着した糸くずやら食べかすやらをつぶさに取り除いた。そこで金属バットを
 ガツッ、ガッ、ツー、ツー、痛、痛、ツーーーーーーーーーーーー………

 公衆電話、キャバの案内とポラロイド、欄外に「パパになって」。
 こいつでいいや。
 花束と手紙、アイスピック、ロープ、軍手をスポーツバッグに入れて担いだ。
 噴水の傍で目を合わす。目印はオレンジのマニキュア。そう君も こいつでいいや。「擦ってろ」
 ラウンジでヒールの踵が折れた。受話器にパンティが引っかかってる。
 トラックのバックする音声。カンザス。
 バタン、キィ、キィ、ジャキッ、プルルルルル、パンパン、シュウ、ダンダンダン、グリィッ、ズブッ、チッ、ドン、ブシュッブシュッ、ドバッ、ブシュッ、ダバ、ダバ、ドボン。
 スピィィード、加速、スピィィー……ドッ、ドッドッドッ、ドッ、ドク、ドクッ、クックックックッ、ピィィィィィーーーーー…………

 クソマンコ腐れマンコ腐った子宮電柱に広告赤い文字、ボールギャグ、哀しみの、牛乳成分カンカン照り、低脂肪の紅茶、換気扇、腰を振る猿、便器に排泄物が。
 イモい女生徒、処女は売るもの、稼ぎの少ない工事、踏み切りの音は過ぎていく。冬の日には色は粉々、信号機ぐらいが娯楽化よ。
 垢抜けないのがいいんだと。でも君には教えてあげないよ、ね!

 周りが全員馬鹿に見える。自分より高位の存在や知性が認識できない。
 空虚や退屈さを玩具にする。練習もせずいつしか集めるだけが目的になる。
 静さと五月蝿さがいつも同居してる。当たり前の体験が欠如している。
 こういうときにどうすればいいのか当たり前のことが分からない。
 転移性のウィルスがいつも脊髄から脳から手足の末端までを行ったり来たりして、自分の嫌味な心を周りに喧伝してる。
 誰もが自分を見下して自分もその殻に篭って、誰かが何処かへ連れ去ってくれるという都合のいい幻想に縋っている。
 この子に限ってそんな筈が無い。体が弱いから沢山勉強していい仕事につかなきゃいけない。
 俺の腕は鉄だから、お釣りを高くから落とされても何も感じない。(クスクス)落ちた小銭を拾うにも(クスクス)膝が軋んで(クスクス)他のポケットから大事なものがポロポロ零れる。(チッ、ダリーナ)
 道を譲られるのは薄汚いから、遠巻きに笑われるのは面と向かって罵倒すれば何をするか分からない不気味な異常者だから。
 話せばどもり笑えば引きつり謝れば威圧し、落ち着いたかと思えば異様に頭をかきむしる。フケが飛ぶ。
 間が悪い、集合写真に写りもしない、面白いことも言えない、下ネタで盛り上がってるときにシケた冗談で沈黙が産まれる。どこへ行っても。
 落ち込んでる弱味を見せたくないから、空気が凍ってるのに何でもないような顔をして気味が悪い。
 でくの坊なのを自覚してますます口が重くなる。
 人の指摘が全て悪口に思える、何を言っても無駄だと決め付けられる。
 似たようなアイツはそれでも愛され、俺はいつも独りぼっちで放っておかれる。醜くて気持ちが悪いからだ。
 理解するにもワンテンポ遅く、言い訳するにも不気味なだらしない笑顔で嘘が丸分かり、フォローする気にもなれない。
 考えが筒抜けで、変態なことを考えてるという偏見も否定できない。
 笑って済む些細な失敗も執着しすぎていつも目の前をチラついて、それを誤魔化す術を知らない。
 惨めな自分なんかに好意を持たれてもお互いに迷惑なだけで、俺なんかが傍にいると君まで汚れるから、どうかせめて幸せになってほしい、自分の関係ないところで、と思って振舞うがそれも理解されない。独りが好きなんだね、じゃあ一生そうしていれば、で片付けられる。
 その努力ももはや空しく思える。いつまでも他人の何気ない一言を気にして、昨日や、ついさっきのことのように耳元で誰かがその一言を連呼して思考が止まる。脂汗が出る。青白くなる。ばれる。またばれる。また一言が来る。
 記憶力だけは無駄にいいのか物覚えはいいのにスピードが遅く要領も悪い、悪口を言った当の本人は忘れていることを、いつまでも引き摺って疎まれる。
 咄嗟に出てくることはいつも妙に見当違いで、周りの白い目にいよいよ慌てて、キモい言動が更に重なる。その記憶がまた堆積して微かなやる気さえ損なわれる。
 押し付けられるポジティブに辟易する、腹の底で憎しみが湧き上がる。
 幸せそうな奴らが憎い、羨ましい、俺もそうなりたい、そうなれるはずだ、そうなるだけの苦労はしたし努力もした、偉そうに。
 楽しそうな笑顔が憎い、空が青いのが憎い、雲がかかってるのが憎い、服のシワが憎い、前髪が憎い、咳が憎い、吃音が憎い、ご飯が憎い、指が憎い、携帯が憎い、その携帯でどうせ俺の悪口を発信してるんだ。その携帯で俺を殴り殺せよ。
 自虐が癖になり過ぎて他人を褒めることも出来ない。そういう言葉を知らない。インチキに聞こえる。
 お世辞でしか褒められたことがないから、自分が言ってもお世辞にしか聞こえない。本当に好きだったのかな、俺は。
 それでも気に障る礼儀とか挨拶がある。しなければ馬鹿にされ嘲られ見下され見限られる。出会い頭の冗談を考えておかないといけない。でもその冗談は絶対に失敗する。
 お世辞を言う。
 笑顔が壊れる。
 そんな奴らの気持ちなんか理解したくない。

 君から貰ったものは全部捨てた。写真も本もセーターも過敏もネックレスも異国の銅貨も。
 重かった。
 頭を愛撫された感触だけは捨てることができない。
 できないできないできないできないできないできない
 できないできないできないできないできないできないできないできないできないできないできないできないでき
ないできないできないできないできないできないできあんできあなきなできなきでなきであんかい
 であきあなkであいkぢえあかんだえきあんであきなできであんkであmできないでかいないできあでなきであきであなきであんでかいであきであんかでkであきあんでかいんだえkだえいだえじであのえあddかえいだえnだえkだいえんだだえきdねあぎいあfえdまjふぇあきであできあんでかいんであであきdなdえあdきあであdかい
であきだにだえkjだいでかぢいであjdふぁいえfじょできあnっであきなきであきであにあいでかんじゃじゃんあななんあなななんあななないないないないにないにあにあにあにあにあにあいにあにあにあにあにいあんいあいないにあないないないないなにあないないないにあぢあえなdけいだんかいでなkぢえあんかいでなきあでなきであんかいdえdかえいんだえいだnでかいなdけいあnであきなきできなkぢえあきであきないできないできなきでいなきできあんできあできなきdえあきできあんかkでなきでn
であきああきいいい
ない
 できない

 林檎を追う。転がる。転校生を強く殴った。廃工場で踏み切りの音がする。耳から排気ガスが漏れる。
 指先から愛液の渇いた匂いがする。誤魔化すための香水がキツい。似たような昼下がりを、あの日の放課後も過ごした。
 家に帰ろう!
 家に帰ろう!
 家に帰ろう!
 家に帰ろう!
 帰れるかなぁ……?
 あの角を曲がらずに。
 案山子と目が合わないように。

 イグアスの滝に身を投げよう
 船に乗るんだ、陸を見送る
 水平線は鯨の背中
 はためくマフラー、薔薇の刺繍
 誰もいない国へいくの
 冬の後ろ髪に別れを告げるよ
 耳たぶ……
 一つだけ嘘をついたんだ
 余計なことを思い出さないように

 「ね、聞いて! 昨日ね! コカ・コーラの瓶で捕まえたの! 妖精!
 蜻蛉みたいな羽でね、おめめが全部黒くて、絹みたいにキラキラ輝いてるの、とっても綺麗」

 いやらしい身体には
 汚物が溜まるだけ
 読みかけの本の文字が
 手錠になってしがみつく
 手が触れる
 気が触れる
 揺れる蝋燭
 暖炉に海の写真
 脳みそから受胎
 死体に花が咲く
 君の腰、青が刺さる
 蚯蚓腫れ、ピエロの歯
 球戯場、若草色、命乞い、上の空……
 手を離して!!
 離してよぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!

 世界中の根元で眠るよ
 指笛、飛行機雲
 コンサートはもうすぐ終わる……
 入り江には貝殻と煙草
 無花果が氷結する
 ゴダールのマリア様
 もう口答えするなよ……
 陶器の粉、石灰、それかクラックのライン引き
 グラウンドの白線全てがコカの
 そこをカウボーイが鼻歌交じりに跨ぐのだ
 拍車が鳴った

 And it's okay , you give me everything I need.
 I got a picture , whispers , bad boy , elevator , agitator , New York girl , corkscrew hair.

 「人類で一番最初に歌ったヤツは、まだ言葉も無い頃で、自分の感情をなんと呼ぶかも知らない頃、きっと泣きたかったんだよ。泣きたくなって、それで、歌ったんだよ。きっと。
 それでね……それでね、僕は、今、とても、歌いたい気分なん、だ……」

 「そろそろ大人になれよ、のそろそろっていつ?」
 「さァー、四月とかじゃね」
 「一番無理な時期じゃーん。大体さぁ、だったら免許でも発行すればって思わない?」
 「ああ、いいなそれ。大人免許、結婚免許、子育て免許、あとなんだ、うーん」
 「免許取るための免許」
 「はは」

 正常な人間の想像する狂気は「そいつの中で最も起きてはならないこと」であり、それは時として一般的に狂ってしまったと定義される存在よりも大いに捻じ曲がった、救いがたい狂気の形をとる。
 それが狂った人間には理解できないので、存外狂った人間の狂った様はパンチが足りないというか、お行儀がいいというか、そんなもんかっていう場合が多い。
 狂ってしまった存在は狂ってしまった存在として、観測可能な範囲で規則性を示すので、視認されない範囲でのコンプレックスにこそ抑え難い魅力を持った象徴が現出する。
 フェティシズムはその中でもポピュラーな形だ。しかしそれは下卑た多数の一般人によって、差別化の安心という断罪のもと衆目に晒されてしまった。狂気の中でも贖罪の羊にあてがわれてしまった。
 最も清らかで情欲に満ちたコンプレックスは、古びたアパートの一室で陽が斜めに指すとき再現される。
 怒りと嫉妬がベッドの上で性器を通じて液状化する。シーツに残る。

 吐息と地下鉄の反響が混ざり合う。
 きっと僕は、欲張りなんだろうね。
 吐息と煙草の煙が混ざり合う。
 きっと君は、それが嬉しいんだろうね。
 もし今度生まれ変わったら、連れていってよ。
 どこへでも、どこまでも。
 さぁなら、さぁなら、先生、さぁーなら。

 僕がもうすぐ死ぬとしたら君は優しくしてくれるだろうか、それとも遠ざかるだろうか。遠ざかるだろ見捨てるだろ
 遠ざかるのも優しさ故だろうか。惜しむらくは、きっと僕よりも君の方が死にそうなこと。
 僕は優しく出来るだろうか……。

 発炎筒を振った、月を売った、月を撃った、海を歩いた、手錠をかけた、墓を壊した、金魚の墓を。同情した。

笑えよ

03 13, 2016 |

 お前らが笑ってると僕も笑うよ、それは塗りつぶしたように真っ黒な絶望で、
 なんだかあまりに平和で地球は優しいので、平和で地球は優しいので、
 愛しているんだ殺してやろうか、

拝啓

03 13, 2016 | ライブ

2016/3/11(金)GOLDEN PIGS YELLOWSTAGE

Ghetto Chapter15『P.S. I miss you.』
Set list
1.セミナー

朝起きたら、隣に君がいて
赤いマグカップ、子どもは二人
青い車、あと、犬がいて
ねぇ
先生、薬をもっと増やしてよ
こんな夢を見ないで済むような
深く眠れる薬を、もっと
増やしてよ、増やしてよ、増やしてよ
増やしてよ、命を……

2.カッタァナイフ

きっと恋をした 映画で見た道を歩いた
象牙の林は嘘だった 綺麗だったなぁ……
カッタァナイフを手に入れた!!
カッタァナイフを手に入れた!!
カッタァナイフを手に入れた!!
手に入れたったら手に入れたあああああああああ→↑あ→→あ←↓→あああああ
こいつで全てが報われる……
こいつで全てが報われる!!

3.Girlfriend(THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのカバー)

世界はくだらないから ぶっ飛んでいたいのさ
天国はくだらないから ぶっ飛んでいたいのさ
希望は嘘だらけで ぶっ飛んでいたいのさ
だから僕はあの娘と ぶっ飛んでいたいのさ
I love you
I love you
I love you
I love you
I love you
I miss you.....

4.Hallelujah(Jeff Buckleyのカバー)

...But you don't really care for music , do ya?
It's cold , It's broken Hallelujah...

 YUKE、村男、山口進さん、和田全孝さん、言葉翔さん、乖離。、Tears of cameleone、
 九條さん、吉田雅志くん、スタッフ、ごんちゃん(大宇宙超能力少年団)、たまごん、平木さん、かおりさん
 みゆみゆ(手塚幸)、Mondeo、木造木造さん、名前の知らない五人の方々、あ、ゲッツタカノ、
 そして君とこどもたち、窓の光、鐘の音、風と草の匂い、鉄格子、有刺鉄線、錆びた手すり、非常階段、暖かいミルク、アルコール、玄米茶、心臓、冬の青空、バイタルサイン、事故った車、色素の薄い髪、パウダースノー、母乳、ハニートースト、赤い夢、珈琲、煙草、ガム、骨、精液、鬼油、木と湿度、温室、ほうき、残響、紫、コンクリート、メス、ミラーボール、田園、電波塔、スクリーン、高速バス、映写室、ブーツ、汚い爪、血の味、膿、瘡蓋、白目、ハンバーグ、コーンスープ、お人形、赤いカーペット、信号機、青い看板、子宮、穏やかで吐き気のする愛おしい暮らし、本当にどうもありがとう。
 3月11日被災された方と、かなしみを負った全ての方の魂の安寧を祈りました。

ラブ&ポップ、式日、そして監督失格

03 06, 2016 | カルチャー

 日本の作家で言えば、一番好きなのは村上龍かもしれない。
 正確に言えば、村上龍の「限りなく透明に近いブルー」だけなんだけど。
 日本語のあまりの自由さ故か、日本文学では作家独自の成分は物語性やギミックにばかり着目されてしまうように思う。乙一といえば叙述トリック、みたいな。
 冲方丁のマルドゥック・ベロシティなんぞはボイルドのキャラクターに合わせて面白いスタイルを持ち込んだ(文章が単語とスラッシュで解体されている)ものだと思うけど、そもそも冲方丁自体が割となんでも書けるというか……。
 案外その点で、洋楽的とも言えるのは西尾維新や森見登美彦なのかもしれない。(個人的にこの二人は永遠のラノベなので)一ページ読めば、ああ、こいつかと分かるし。
 ちなみに、有川浩も森博嗣も乙一も奥田英朗も東野圭吾も伊坂幸太郎も綿矢りさも恩田陸も大崎善生も全員ラノベだと思う。なんでも書けるから。ラノベでも文学でもどっちでもどーでもいいんだけど(どっちも別に偉くないし幼稚でもない)、ある程度のエンターテイメント性、売り上げを織り込んで書いてる人は性質がラノベじゃないかなと個人的に思う。そういう職業なんだし、それでいいと思う。
 強いて言えば、はなっから映画化を目論んでるんじゃねえのか、コレ? レベルになったところで鼻につく。文字で表せよ、そこ最後の垣根だろ、という。
 暴論だけど、映画化に適した小説って小説じゃないと思うし。それただの冗長なプロットやん!て。

 ラブ&ポップ
 余談が長くなったが、村上龍にも2作目以降は今述べたラノベ的部分が多分に存在する。というか、オッサン無理して若い子に合わせなくてもええんやで……って感じだ。
 で、ラブ&ポップ、又の名をトパーズⅡ(Ⅰはあらゆる女性の性生活に切り込んだ短編集)は女子高生の援助交際を題材に描いたお話。
 個人的に、女子高生という生き物の完成度は凄まじいものがあると思う。援助交際なんてアクセサリーの一つ。

 小説の方は割愛しよう。映画化を視野に入れてたかは知らないが(多分20%ぐらいは入ってる)、ただの冗長なプロットだ。
 最近知ったのだがエヴァの庵野によって映画化されていて、それがどうも庵野初の実写作品だったらしい。というわけで見てみた。
 なるほど、これがあっての「式日」だったんだなぁというのがまず感想。冒頭の話とリンクするが、映画にも文才という言葉は当てはまって、庵野はまさに文才の持ち主だよなぁと思う。
 文章スタイルも確立されていて、何を撮ってもエヴァンゲリオンになるということをこの段階ですでに証明している。
 ・フラッシュバック、サブリミナルの多用
 ・上記と合わせた印象的なタイポグラフィ
 ・主人公か庵野か(半ば意図的に)区別のつかない独白
 ・大音量で流れるミスマッチなBGM、特に秀逸なクラシックの使い方
 これらがあればもうエヴァンゲリオンですよ。そりゃあリリィ・シュシュのすべてが悩める十代にクリーンヒットするのは当然だよ、エヴァと全く同じ方法論だもの。
 3つ目の独白は押井守もよく使うね。もう主役のナレーション始まると「お、監督の持論展開きた」とかそういうレベルだもんね、この二人は。
 あ、タイポグラフィを使うから庵野に文才があるって言ってるんじゃないよ? ちなみに。

 ちなみに、僕は、まぁ、君のお察しの通り、この手法が大の弱点でして……飽き飽きしててもとりあえず見ちゃう。
 で、映画ラブ&ポップなんですが。まず驚くほど改変が少ない。キャストの容貌や振る舞い、話の流れ、台詞の細部にいたるまで殆ど原作のままだ。
 それに上記の四つの癖が織り込まれてるだけ、なんだけど、もうそれで十分完成されてた。何も足さない、何も引かない。
 初めから原作と庵野の手法の相性が抜群だったってわけだ。というか織り込み済みの取り合わせ?

 映画自体を一言でまとめると、これはAVなんだよね。ベッドシーンがないだけで。(ちょい裸や精液の描写は出る)
 個人的にはエヴァもAVだと思うけど、被写体が実写になったことでいよいよ顕著になった。
 まとわりつく湿気というか、雨が降り出したときのアスファルトのような匂いが画面上から漂ってくるというか。
 やはり、映像の究極的表現はAVなんじゃないかと思う。一番目を引くというか、リアクションが大きいのはやっぱりそれだと思うし。
 クリエイターとしての性欲がムンムンと迸る作品だった。

 まあまあ面白かったけど、僕が一番喰らったのはやっぱりキャプテンEOだな。主人公の女子高生がテレクラで最後に出会うイケメンなんだけど、ぬいぐるみに話し掛ける残念なサイコ野郎を浅野忠信が演じてる。
 まぁ、お察しの通り、僕は役者の浅野忠信が好きなんだ、というか変な話、顔がタイプなんだけど。
 もう全部話を持っていってたね。元々作品のメッセージ上、最重要なキャラクターなんだけど、およそ村上龍がプロット上想像してたであろうピースを完璧に演じてたんじゃないでしょうか。
 興味深いのはこのキャプテンEO、ぬいぐるみと話す中で「シベールの日曜日」という映画のタイトルを出すんだけど、この映画「あしたはあなたの誕生日ね」って台詞が出てくるんだそうだ。
 いや見たことないんだけど……っていうか見たいんだけど……。

 式日
 「あしたはあなたの誕生日ね」と言えば、庵野の実写2作目、式日のキーワードを連想させる。こじつけだろうか。
 式日はどんな映画かというと、原作者演じる気狂い女(『彼女』)と、岩井俊二演じる自分の仕事にどんづまってる映画監督(『カントク』)がぶらつくだけの寓話的な話。
 『彼女』は「明日は私の誕生日なの」と毎日言い続け、何に置いても全く整合性の取れない行動を取り続ける。そんな『彼女』を被写体として興味を持った『カントク』は『彼女』を追い回したり、やっぱ気狂いっぷりに疲れてぶらぶらしたりナレーションでひたすら愚痴ったりする。
 愚痴の内容は、要約すると「俺の映画見てる奴もお上もバカばっかで何にも分かってねえ、ふざけんな」。庵野のクリエイター論が垣間見えてちょっと楽しい。
 おそらくエヴァの旧劇場版も一言でまとめるとコレでしょうね……。

 原作は読んだことないが、多分原作を超えてるんじゃないかな、と思う。いや、分からない。いい出来と言いたいだけ。
 ラブ&ポップで確認した基礎を元に、庵野なりにもうちょっと遊んでみたのが今作なんでしょう、きっと。
 部分的にはいよいよエヴァになってるところもあり、岩井俊二好き、庵野好き両方に美味しい映画となっていると思う。
 こういう映画、もっと増えたらいいのになぁ。どうせ頑張ったって低予算なんだから、こういう方向も突き詰めようよ! ミニシアターとか言ってないで!

 監督失格
 これはもう、そのまんまAVですね。AV女優由美香、そして彼女と公私共にパートナーだったAV監督平野勝之のドキュメンタリー。
 僕はドキュメンタリーというヤツがあまり好きではない、モキュメンタリーも好きじゃないんだけど、これはもう別格。別次元。
 ドキュメンタリーでありつつ、映画でありつつ、現実でありつつ、作品でありつつ、むき出しでもうメチャクチャ。
 僕は風俗やAVにまるで偏見がないのだけど(むしろ尊敬してる)、このドキュメンタリーで浮き彫りになる情愛は凄まじいの一言に尽きる。
 ※庵野はこれにプロデューサーとして関わっているんだけど、上記2作は平野勝之からの影響(というかもはやパクりレベル)があの形にさせたんじゃないかなと思った。

 内容はこのドキュメンタリーの主演(?)であり監督でもある平野勝之の代表作、「自転車不倫野宿ツアー 由美香」を中心に2005年に亡くなった林由美香の思い出と自身のキャリアを振り返る、というもの。
 自転車不倫野宿ツアーは僕も見てないし見る必要もない、ついでにそこまでアレなシーンもないので、映像を撮るのが趣味(あえて趣味と書く)な冴えない男の、猛烈な純愛と思えばそれで十分。
 猛烈すぎてかっこ悪いし、嫉妬もするし、フラれたことを引きずりまくるし、成功したものの二番煎じを作ろうとして大失敗する。汚い部分もむき出しだけど、画面の持つパワーが目を惹きつけ続ける。
 「ドキュメンタリーの制作」自体が映像に組み込まれてるので、脅威のリアルタイム感があり、そこに自転車ツアーでの美しい映像が差し込まれ平野勝之自身に強烈に感情移入してしまう。
 様々な時間軸の過去がコントラストとして描かれたあと、ラストの10分間からクレジットに至るまでの流れは、もう言葉にするのも野暮だ……久々に人間ヤバイと思った。
 人間ってこんなにも誰かを深く愛して、そのために傷つくことが出来るのか……だって少しもフィクションじゃないんだよ?

 作中何度もリフレインされる、由美香の「女性が本当に愛した人にだけ見せる、まどろんだ表情」が本当に凄い……一般的な美形ではないけれど、というかそれがまた一役買って、女性の美しさの結晶とさえ感じる。
 不思議なことに、こんな映像が形になって、世に発表されるのはAVという枠の中でだけなんだね。全くチグハグだ。
 表現ってちっぽけだなって思った。卑屈になってるわけじゃなくて、そういうもんだからこそ現実の厚みを痛感するし、表現のやり場もあるということ。

 まぁ別に、必要のない人はこの三つ、一生見なくていいですよ。電池みたいに生きてる無神経な人には縁のない世界と感情だと思う。
 でも、例えば監督失格を、カップルで見て、二人してボロボロに泣くような人間が世の中に沢山いたら、きっとそれが素晴らしい世界なんじゃないかなぁ。
 なんて、人間に期待もしてしまうような、そういうエネルギーを持った三つの映画でございました。