活動

鳩 正義

Author:鳩 正義
Ghetto HP
Ghetto

出演-------------------
9/8@三軒茶屋HEAVEN'S DOOR
「KANTA dAb dAb Japan Tour」(from Nepal)
21:00~

9/10@両国SUNRIZE
「両国ウルトラソウル ハァイ」
21:00~

9/28@両国SUNRIZE

10/4@両国SUNRIZE
※弾き語りでの出演

10/22@三軒茶屋HEAVEN'S DOOR

11/1@両国SUNRIZE
「両国SUNRIZE 8周年 初日!」

11/5@三軒茶屋HEAVEN'S DOOR

12/14@両国SUNRIZE
​「???」


チケット予約は下記メールまで。
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Wrong Number

09 18, 2017 |



「もしもし」
「あ、あのさぁ、次の仕込みなんだけど」
「あ?」
「あれ? え、誰?」
「誰だろうね」
「あっ、あ、ネコたん? ごめん間違えた」
「切っていいスか」
「待って待って、え、あんさ、ネコって次来る?」
「いや……」
「最近来ないよね、どした?」
「どうもしない。あー……そうだな、だってあそこの絨毯、気持ち悪いから」
「え? どういうこと?」
「なんかブヨブヨして。匂いも。えっと、つまりヤなこと思い出すんだよ」
「ふーん……なんか、ネコらしいね」
「バカにしてるだろ」
「してないしてない!」
「あのさぁ」
「駄目切っちゃ」
「なんなんだよ……」
「いいじゃんたまには。いやごめん、こういうの好きじゃないよね」
「まあ、お前ならいいよ」
「うわ、やっさし。惚れそう」
「どうぞ」
「うっそー」
「あのさぁ」
「ごめんマジ待って。あんさぁ、一つ聞きたいんだけど、男の人って元カノから電話来たらウザい?」
「……多分大体喜ぶ。っていうか、普通そういうの逆な気がする」
「そういうもん?」
「いや知らんけど。ツレとかがそうだから。男だけで飲むと電話帳の女にランダムでかけようぜ、って件があったりする」
「ネコたんは? かけたことあるの?」
「あるけど、幸い誰か出たことはない」
「無視されてんじゃない?」
「あっ、ふーんそっか!!! 死のっかな!! んー!!」
「アハハ、待って! ちょ、ヤバイ! ハハハ!!」
「待たねーし。死ぬし。ヤバイの俺だし」
「フフ、でさ、ごめん話戻んだけど」
「あー、いやホント、大体相手してくれるよ。男は大体、昔の女が自分のこと忘れられないヒトだと思ってるって、妄想してっから」
「ネコたんは?」
「は? いや一刻も早く忘れて欲しいね。俺の存在ごと」
「ぶっ、やっぱ頭おかしいわ」
「うるせえよなんなんだよテメー」
「多分それは無いと思うよ」
「あっそ」
「うわ、本気嫌そう」
「だって嫌なもんは嫌だもん」
「どして?」
「んー……え、てか何、なんで俺の人生相談みたいになってんの」
「いいじゃん教えてよ」
「なんつうか、あー……あの、要は自己防衛だよ。今まで本当にすみませんでした、いっぱいいっぱい酷いことしました、女々しくてキモいっすよね、男らしくなくてごめんなさい、甲斐性もなくてごめんなさい、そんなクソゴミの俺のことは綺麗に忘れてください、さ、もう他人ですね、ハッピーハッピー、みたいな」
「全然ハッピーじゃないじゃん! 毎回そんななるの?」
「なるよ。今もう言ってて落ち込んできたよ」
「うわ、マジかー……」
「聞いといて引くとかマジ無くない」
「え、ごめん違う、別に引いてるとかじゃない」
「ハァ」
「あ、幸せの妖精が死んじゃうよ」
「ハァーーーーーーー」
「うわー大虐殺だー」
「なんて惨いんだー」
「ふ」
「なんかしたくなってきた」
「え、何が?」
「ナニが」
「急すぎっしょ」
「うん俺何言ってんだろ? 切るわ」
「テレセクする?」
「いや、別にいい」
「私はいいけど」
「じゃーカマン!」
「ちょ、笑わせないでよ」
「すんません」
「え?」
「ん?」
「もしもし?」
「もしもーし?」
「…しも、…し…?」
「あーらら」

 携帯が熱くなってる。通話を切って充電器に指し直して、俺は珈琲を入れながら考えた。
 このパターンは知ってる。間違い電話のパターンだ。人生の早いうちに、先にされたことがあってよかった、と思う。
 どんなに建前を考えたであろう第一声で、既に相手にはバレバレって分かってたから。こいつ視線は外してるけどコッチ見てるな、みたいな感じ。
 でも指摘したことはない。凄く恥ずかしいだろうから。そこを弄れば嗜虐心は満たされるが、気付いていながらあえて放置して探るのが、まぁなんというか一番面白いし心地がいい。秘密を一切握って、本当に優位に立ってる感じがする。性格の悪いことだ。
 ただやっぱり性格が悪いから、その動機まで考えるのは嫌だった。自分が嫌いってのは、要は疑り深くなるってことで、そんな自分が更に嫌になる。よく出来たスパイラルだ。
 ま、つまり壺は買わないタイプってことだから、それはいいよな。

 電話が鳴っている。これはもうWrong Numberじゃない。
 義務感だけになってしまった。
 一刻も早く忘れて欲しいと思った。
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Call

09 11, 2017 |



 深夜の携帯のバイブレイションで目が覚めた。
 その日は部屋に差し込む午後の風が気持ちよく、本を読んでいるうちにいつの間にか寝てしまっていた。物語の延長を夢でなぞっていたであろう心地いい感触が、僅かに頭に残っている。
 呼び出しの名を見ることもなく、鳴り続ける下品なバイブの音に舌打ちをして俺は通話のボタンを押した。
 「……遅いよ、出るのが……」
 ひとしきり喚いたあとのような、がさついた声。携帯越しにこっちにまで湿っぽさが伝わってくるようだ。こういうときの用件は大体分かってる。要するに出て来いってことだ。すぐ行く、とだけ言って電話を切った。着信は十数件、名探偵なら散発的な時間に心理を読み解いて、その間の行動を予測することが出来るかもしれない。
 目蓋をこすりながら温くなったレモネードを飲み干して、床に落ちてたワイシャツを拾って外へ出る。
 自分が女だったらどんなにかいいだろうと、こういうとき思う。要は逆のことをすればいいだけなんだから。自分は家でもどこでもほっつき歩いて、急に不安とか幻聴とかハンマーを持った自己嫌悪が襲ってきたら、適当に唾付けた男に電話して迎えに来てもらう。このぐらいならまぁいいかっていう駄賃だけ与えて、それ以上はあの日だからとか、無理やりはやだとか、幾らでもでっち上げるだけだ。
 じゃあなんで自分はこうしてまんまと呼び出されてるのか、自分でも頭を傾げるばかりだ。
 学生の頃は他人の面倒ごとってやつが面白くて仕方なかったが、当事者になってみると「なんでわざわざこんなことに時間を割いてるんだろう」、「まるでドラマの真似事のように」、「白々しい台詞や行動を重ねて」、なんて不満ばかりが湧いて出てくる。
 それぞれに台本が渡されていて、これが全く困ったことに、自分でも驚くほど自然にその役割をこなせるのだ。そういう役どころが一通り揃う時期っていうのが、人生にはあるらしい。まるで操り人形のように。
 馬鹿馬鹿しいことに、どうもこれがリア充ってやつみたいだ。なんてことはない、大したことないことに一々大騒ぎして、友情とか仲間とか、そういうのを一見大切にしているようでいて、実際はそれをスーパーボールのようにそこらに叩きつけて遊んでいるだけなんだ。
 どうせピリオドのついた人生、あのとき死んでおけばさぞ綺麗なお話で終わっただろうに、ニンゲンと言うものはそう歯切れよくはないのだな。シンデレラも白雪姫もオーロラ姫も皆、王子と結婚したあとは、貴族特有の薄汚い権謀術数に巻き込まれ性根を歪めながら俗な余生を送っているのだ。
 姫でも王子でも英雄でもなんでもない俺たちは、もっともっと低俗で溢れかえった、虚しいルーティンに痛覚を失うだけ。
 近くの公園まで来たところで電話をかける。ちょっとしたアスレチックの遊具が沢山ある、大きな公園だ。遠くの高架下で押しが自分の客と世間話している。
「着いたぞ」
「ん……」
 先ほどよりは少し落ち着いた声色だった。俺は俺で頭痛が酷い。目頭を揉みながら、アスピリンを一錠飲んだ。長袖一枚だと少し肌寒い。煙草に火をつけて暫く考え事をしていると、ようやくそいつは来た。V系みたいなタンクトップにダメージジーンズ、乗馬にでも履きそうなブーツ。いつもどこかしらの具合が悪いようなことを言っているくせに、俺より寒そうな格好だ。派手に血の滲んだ包帯を腕に巻いている。左の目尻に青痰ができている。
 まぁ、大体そんなとこだろうと思った。そいつは俺の隣に座って、同じように煙草を吸いだした。
「切るなら俺の前でやれよって言ったじゃん」
「あ、そっか……はは、そうだね……」
 煙を吐き出しながら頭を小突く。そいつはベースボールキャップを直しながら、力なく笑った。
 こういうやり取りも、本当ならどこか嘘くさいはずだ。今になるとそれがよく分かる。
「結局さ、男の人には叶わないんだなぁって思った」
「分からねえわ」
「何が?」
「どうせ切ったことで喧嘩になったんだろ」
「うん」
「そもそも切らなくてもよくなるか、幾ら切っても何も言わない相手とくっつけばいいじゃねえか」
「そんな人いないよ」
 じゃあ呼ぶなよ、と言いかけたが、飲み込んだ。
 彼氏とドライブ中にエンストしたときにもこいつは俺に電話してきた。俺は免許すら持っていないのに。彼氏とはそのとき初めて喋ったぐらいだが、はぁ、どうも、初めまして、まぁ大変だと思いますけど頑張って、最終的にJAFじゃないですか、そんなシュールな会話にうんざりしたもんだ。
 要するに常識が通用しない。
「この街から抜け出したいね、どこか遠くへ行きたい、誰も私のことを知らないような。外国もいいかな」
 そいつはベンチから立ち上がると、平均台の上に飛び乗ってバランスを取り出した。
 多分どこにも行かないだろう。それどころか、彼氏と別れることすらできないだろう。まぁ鈍い俺にもそろそろ分かってきた。
 誰か、それこそ白馬の騎士みたいのに自分のことを連れ去ってほしいんだろう。普段勝ち気なのに時折妙にしおらしくなる、この手のタイプは大体そういう、やけに少女趣味な理想を持ってたりするみたいだ。
 でも言わずにはおれないのだ、そのささやかな夢や願望を。
「ビールの美味い国に行きたいよな。ドイツとか」
「ああ最高! ビールとウィンナーとベーコン、バターたっぷりのオムレスでしょ!」
「一面湖とか荒野とか、そういうのもいいな。見渡す限りが地平線なのに、建物が一つもないとこでキャンプしてさぁ」
「そんなの楽園じゃん! 私小さい頃、家族旅行で北京に行ったことあるよ」
「へぇ、どうだった。料理は美味しかった?」
「全然だよ、辛いだけだったな、あとごみごみして、変な匂いばっかり」
「ははは! それはプランが良くねえんだよ! 北京料理の店じゃなかっただろ、多分」
「んーそうかなぁ、よく覚えてないわ」
 公園の遊具を一通り巡り終わるまで、他愛の無い話を続けた。そいつはそれでもう満足したようだった。無論俺も楽しくないわけじゃない。
 実を言えば役割を演じることの恐ろしさは、それが何とも背徳的な興奮や快感に溢れていることだ。だから一度それに腰掛けてしまうと、容易に動くことが出来なくなる。それは奇妙なことに周りにまで否応無く作用するのだ。
 この場合で言えば俺とそいつは、それを難なくこなしていただろう。役割の名は人によって代わるだろうが、それには興味が無かった。
「じゃあ俺、そろそろ帰るよ。読みかけの本が面白かったからな、続きが気になる」
「うん、ありがとね。因みになんて本?」
「教えてもどうせお前は読まないよ。じゃあな」
 空が青くなってきていた。
 あれは出任せだ。俺は家に着いたらまた眠るだろう。正直のところ、本なんてもの、読むだけ読んでも結末なんかどうでもいい。結末に納得した本なんて、片手にすら至らない。
 終わる手前で投げた本など幾らでもある。そこまで膨らんだ話を、あとは自分で考えるのが俺は好きだった。
 それだけは役割に左右されない、本当に大切なものだと思っていた。
 いつも望みどおりの夢が見れたらいい。あの夢の続きが見たい、またあの人に会いたい。
 役割に支配されない俺とそいつで会えたら楽なのに。
 でもそれは叶わない。だから電話が鳴ったら、また糸が繋がる。鳴らなくなったら、糸は切れる。
 切れたらもう二度と繋がることはない。
 永遠に。

偏光

09 10, 2017 |


 立ち込める煙、寝室、横たわる君の背中、薄布越しの背骨。
 また同じ間違いをした。また明かりの方に歩いていってしまった。
 日差しの下では妖精たちがウェッジウッドのコップに紅茶を注いで、短剣で串刺しにされた蝶が鱗粉を撒いている。
 木のそばでかかんで、俺はじっとそれを見ている。光の中で美しい人たちが談笑している。
 俺はもう何か、粘液と塵芥を生み出すだけの醜い肉塊だ。ご機嫌な兵隊達が輪になって囲っている。俺はその輪の外だ。
 兵隊達はブリキの玩具で、俺みたいなものがその内側に入ろうと見るや、一転逆さの形相で睨めつけ、手に持った槍でブスブスとつついて笑うのだ。あとで百舌の早贄のように掲げて、その醜穢を仲間内で囁きあうために。
 美しい人たちは知らない。

「でも素っ気無い態度を見せて、いかにも傷ついてません、って顔で守るのでしょう」
「ああそうです、それの何が悪いんですか。それの何が悪いんですか」
 ヴェルベットの上で転がってケダモノの習性に馴染んでみるんだ、それでもきっと分かることはいつも陳腐で、この身体は、美しい人もそうだ、身体は所詮蛋白質だ、ただの輪郭だけ。
 爪弾きになるのが怖いのでしょう、それの何が悪いのでしょう、必死で手に入れたものでしょう、それを守るためなら別の爪弾きを蹴飛ばして、誰だってそうでしょう。
 でも君にはして欲しくない、君にはして欲しくない、して欲しくない、美しい君にはして欲しくないのに……。
「それが傲慢と言って、貴方は自分を醜いって枠に押し込めて、私を美しいって枠に押し込めて、だから自分は何をしてもいい、どうせ醜いのだから、そういう免罪符を貼り付けたいだけでしょう」
「でも君にもう興味は」
「無いなら鮮やかにすればいいのに」
 それが出来たら苦労はしない。端っこに滲むのはいつもチャチな猜疑心だけ。

 人の醜いところを見たら、自分の醜いところが具現化して、まざまざと見せ付けられるような気になるだろう。
 明るみに出たらもう、それは二度と戻ることが出来ない気がして。
 いちいち全てに気を遣うには時間も覚悟も足りないんだ。熱意だけでは分かってくれない。もう誰も熱意だけでは。
 鉄で出来てる、鉄で出来てる、ああ遠くを見てる。
 何も変わらない、誰も変えようがない、誰も干渉できない、そっとしておいてくれているのか、遠巻きに見ているのか、それすらもう分からない。
 哀しくはない。寂しくはない。ただ少し考え事がしたい。
 何かがまた横切る、優しい目だ、視線を落とす、優しくされる価値なんかない、誰かに優しくしたい、もう誰でもいい。
 暗闇の中を歩いてきた。光のある場所は避けて歩いてきた。時々ぼうっとして突っ込んで、手痛いこともあった。
 でもそこで振り返って、よくよく思い出してみるんだ。
 俺が歩いてきた道は、本当に真っ暗だったろうか。遠くの明かりで満足したこともあったろう。誰かが立ててくれた灯りもあるだろう。
 この先もきっと真っ暗なんだろう。
 だから突然君の近くにいたい、ありえないほどの近くで、お互いそうだとも気付く間もなく驚いて。
 君も暗闇の中を歩いてんだろう。
 悪い夢で目が覚めたり、窓の外を見たり、爪先に水滴が当たったり、珈琲を最後まで飲み干したとき、「ああ…」と思うとき、傍にいるんだ。
 暗いだけなんだ。

BLACK

09 05, 2017 | 歌詞

白線の上を歩くこどもたち
踏み外した道、目を逸らす君

泣き腫らした黒いピエロ
空中ブランコに見惚れた
落ちこぼれに降る鞭の雨
ゴキブリ這いつくばる

I want you back
幼い頃は友達で
But I'm BLACK
雑種の命は値引き
Stranger
たかが肌の色如きで
She don't stand by me

いつも同じ夢を見るんだ
沢山の風船をくわえて
あの柵を越えて
君と踊る夢を

「見セテクレタ絵本デハ
王子ト姫ハ結バレタノニ……」

I want you back
爪も牙も持たないのに
But I'm FREAK
死ぬまで見世物小屋
Stranger
綺麗な髪と言ってくれてた
But I'm BLACK...

笑えない、もう
乗れない、ボール
渡れない、ロープ
成れない、人に

回るメリーゴーランド
俺を見て笑う
大人の君は
綺麗な白になったね

(Ghetto)