パラダイス

彼や彼女が白鳥だった頃
空や雲は透き通ってたんだってさ
冷たい水面の波紋にただ笑って
崩壊の美学に酔いしれてたんだってさ

その翼が血にまみれて折れていくとき
なんでそれを止めようと思わないかなんて

遠くの空に消えた太陽を追いかけて
緑色の草原を赤く染め上げていくのに
追いつかないまま青紫のカーテンが閉められて
風が吹く
不思議とここは海に近い気がしている
夢の中

遠い目をしてあなたはここにいないんだ
そんなあなたを見て羨ましいとは思うんだ
だけど俺も時々そんな風になってるらしい
1人で勝手に空に溶けてく奴はどうかしてると思っていた
だからそう言われると俺もどうかしてるらしいな
別にいい、それは別にいいんだ、どうかしてたっていいのさ
俺はただ、ここにいるときここにいてほしかっただけだ
綺麗なものを見たときに、綺麗だね、と言える相手がいたらいい
それが全てで、それが夢物語だとして
夢なら覚めないでほしいと思ってしまうな

誰からも愛し愛される
赤ん坊を見てそれだけで笑顔になっちまうなんて
そんなのずるいんだな
海で俺が見たのは
そんなスワンダイブだった
彼や彼女は鳥じゃないから
本物より少し不器用だった

2009/11/21
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