パラノイア

冬晴れの日だった
こんな話は誰にだってよくあると分かっているよ
分かっているよそれぐらい
分かっているさそれぐらいは

ありきたりな狂気の話だ
雪の積もった電車のホーム
電車も来ないし彼女も来ない
君の小さな背中が裂けて羽が生えたら
触らせて欲しかった
折れた翼に血を塗りました
俺にはあの空に消えていく煙が偶然とは思えなかった
あの日彼女は誰といただろうか
誰だろうといいのさ
そこに暖かさがあれば忘れる
当たり前の話さ
当たり前だけど
いつも俺を歪める
ここから汽車に乗ってどっか行っちまえばいい
見送りはしない
見送りもしない
見劣りする俺を見捨てていけばいい
俺がいない間に世界は進むのさ
そしてどっか行っちまえばいい
当たり前の話さ
気持ち悪いぜ
それが誰かの乳房だったときを思い出して
俺はいつも勝手に気持ち悪くなるよ

新聞紙を被って震えているよ
そんな捨て犬が笑っているよ
花嫁の義手に油を差すなよ
オリビアの愛、くだらない風邪
命乞いの日、決まって聞こえる時計の音
冷たい表面、俺の在り方
蒼みたいだな
それは泡みたいだな
二人のいた部屋、黒い窓枠、清らかだったこと
一人の夜、腐らせた性器の味、ダルマの爪、切り落とした手足、清らかなこと
忘れさせろよ、明日のこと、隠せるのかな、くるぶしの悪夢、俺を否定して、失った子宮
肌荒れが酷くて、あの人はやせ衰えた、何もねぇ、何もねぇのさ、心臓が止まる
理性の罪、理性の罪、真面目に考えたら何一つ上手くいかない、頭が悪い

何をしても誰ともいれないというのなら
爪痕だけでも残そうとするのは悪いことだろうか
彼女が誰かのものだったことを思い出して
ディラックの海に溺れちまえばいい
上手く笑うことができない
愛される術を忘れて
変わったのは誰かのせいにして
あの日から変わらない冬の日の朝、いつも嫌な気分になる
俺も誰かのものになっちまえばいい
ついにそう思ったその日から
俺は俺のものではないらしい
すべては遅すぎたらしい
オリビアに証明してほしい
別にそれは
誰にだってよくあると
大切なものを捨ててでも
目の前の吐き気に耐えられないほど弱い人間がいることを
俺はそうなんだ

2009/11/09
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