12
2013

メイデン

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心はまるで廃墟みたいな気分さ
物が多いのは好きじゃないんだ
それはきっと初めから持ってたものが少ないから
ほつれた糸もライターで焼き切るんだよ

赤錆の目立つ寂れた工場は俺たちのアジトだったし
夏には蝉の発情の声聞いて笑っていたし
額に浮いた汗をリストバンドでぬぐっていた
遠ざかっていく夕暮れに気が狂いそうになって
乗り捨てられた車のフロントガラスを懸命に割った

遠ざかる雲は小さい頃から、何の形とも思わなかった
雲は雲だろう、そう言った俺を君は強く突き飛ばしたもんだ
一緒に絵を描いた、並んで絵を描いた
どっちもあんまり上手くなかったな
君はパティシエになる夢は叶いそうかい?
君を真似して絵を描くって夢、俺は捨てた

ひょんな縁から、君の友達と仲良くなったんだ
彼女から君の名前を聞いたとき、なんてこった、そう思ったんだ、それも夏の日だった
色白でハートの刺繍が入ったリストバンドつけてたんだ、可愛い子だった
二人で一緒によく帰ったよ、バスから降りて彼女を見送ったんだ
初日が上手くいきすぎたんだ、なんだか俺は妙な気分になってしまって
言わなくていいことまで言ってしまった、調子に乗るといつもこれだ
だからあの日から目は合わせてくれなかった
いつの間にか俺から逃げていた、気分が悪かった

200/07/11
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