12
2013

カエル

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蝿が飛んでいる
その軌跡が白い壁に残る
いつまでも残る
だんだん壁が切り刻まれていく
手元の蝋燭が燃えていく
指や手に垂れた滴が冷えて固まっていく
目を閉じる
まだ火は残っている
焦げ臭い匂いと、生臭い香りがする
額から流れた汗が鼻筋を伝って唇に滑り落ちてくる
しょっぱい味がする
唾があまりでない、なけなしのものを集めて必死に飲み込む
頭に霞がかかって、上手く考えることができない
熱いところ以外は血が通っていないみたいだ
夕暮れどきの古アパートだ
窓の外で蝉が鳴いている
木々が揺れている
僕はまだ小学校に上がる前だ
’90年代はそんな時代だ
妙に汗ばんでいて、じれったくて、狂ったほど懐かしい気がしている
あの気持ちはもう二度とない
あの時代はもう二度と来ない

2009/07/05
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