12
2013

「灰みたいね」

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点滴は嫌い
夏、難病に冒された僕は毎日毎日点滴漬け
看護婦が下手くそだったから、何度も脊髄に注射を刺された
何度もゲロを吐きそうになりながら、握りしめたのはハンカチだった

粉雪は好き
冬、君が無邪気な顔をして白くなっていく中庭で僕の知らないダンスを踊ってた
アトリエの帰り、僕はダウンジャケットのポケットに缶コーヒー突っ込んで
その暖かさにもたれかかって、君になんとなくいつまでも見とれていた

トロンボーンは嫌い
秋、僕たちのマーチングは県大会で負けた
嫌な先輩もいなくなったってのに、頑張った僕たちの努力はそこで終わった
君の長くて白い足を見ていた、それはいつの間にか陽炎だった

桜が好き
春、君を初めて見たとき、そいつは桜の木の下だった
初対面だってのに、「好きな人はいる?」だとかませた表情で聞いてきて
あのとき「君に一目惚れした」って素直に言えたらどんなにか楽だったか

いつも仲良しでいいよねって言われて
でもどこかブルーになってた
あれは恋だった…
明日君がいなきゃ困る 困るなぁ
僕はいつも何かに焦ってた
汗の滴が前髪から落ちる
焦燥感に潰されそうになりながら、空は塗りつぶしたみたいに蒼かった
黒ずんだ手でグラウンドに大きく丸を描いた
どうせ次の日にはサッカー部の夏の練習で踏みしめられるさ
そうじゃないんだ、形なんて残んなくたっていい
僕はただ花を放り投げて海に身を投げ出して
「青い車」が走っていくよ
走っていくんだ、うずくまるスパイダー

2009/07/03
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