のっぽ

東京に来てから、やたら頭をぶつける機会が多い気がする。
一番困るのは、ぶつかるのかぶつからないのか分からない高さにある垂れ幕。
ギリギリ当たらないのに、かがんでくぐってるのは傍から見たら、きっとすごく格好悪い。
かといって、当たらないと決め込んでズカズカ歩いたら、顔に当たって「ぬふお」ってなったり。
なんでか知らないが、生え際よりちょっと上の部分に特に当たることが多く、心情的にすごく「あっ」ってなる。別にあえぎ声とかではない。
日本家屋の、部屋の境にあるアレもよくぶつかる。額ならまだいいのに、やっぱり生え際より上の部分に衝突する。
頭頂部スレスレでかすったときなんて、なんか空しくて涙さえ出る。いっそぶつかれ、と思う。

電車も怖い。降りる駅ってときに慌ててると、手すりに連続ヒットする。
声に出すと「うお、お、お、お、お、っ」みたいになる。
この前地下鉄に乗り込むときに、入り口で思い切り頭ぶつけて「うふぁ」って声漏らして、おまけにヘッドフォンが物凄いずれた。
後ろで「ぶっ」て噴出す声が聞こえた。

やたらでかい奴を見かけると、「あの人でけー」とか言うが、「おめーと同じぐらいだろうが」とか突っ込まれると、「えっ、俺ってあんなでかいの…」と内心引く。
「人のこと言えねーだろ」もよく言われるが、「思っちゃいけないのかよ…」って内心傷つく。

実家で脚立に乗って電球取り替えてるときに、母親が「うおっ、首見えなくてビックリした」って言われたときは悲しくなった。
よく考えたらこの話は身長関係ない。

初対面の人に「大きい!身長いくつ?」と聞かれるのが、すでに面倒くさい。
実は端数なのだが、面倒だから185と答えている。180か190ならもっと言いやすかったのだけど。
「牛乳好き?」とも聞かれるが、好きでもなんでもない。どちらかというと嫌いだ。給食くらいでしか飲まなかった。
「でかいだけでキャラ付け出来ていいな」と言われたことがあるが、そもそものっぽ的立ち位置に飽き飽きしてる。
形容するときに「あの背の高い人」ってまず言われるのが、微妙に悲しい。それで相手にも伝わるから、ますます微妙に悲しい。

細かい作業をしているだけなのに「キモい」「似合わない」とか言われる。
バイトで普通に作業しているのに「トロい」とも言われる。「長いからそう見えるのでは」とか反論したら納得されたりする。実際はダルくてトロくやってる。

今も割とそうだが、昔はかなりの猫背で、たまに背筋伸ばしたら「うわ、もっとでかくなった!!」と驚かれた。
親戚や両親の知り合いに会うたび「また大きくなったねぇ!」と言われるが、別に前会ったときと変わってない。

しょっちゅう「身長分けてくれ」と言われるが、いたたまれなくなるのでやめてほしい。
運動してない俺でも膝や腰が痛いのだから、バスケ選手は大変だと思う。
中2のときから母が俺の身長を柱に印をつけだしたが、残念なことにほとんど変わってない。印をつけるのが遅すぎた。
どこのキッチンでも、まれに気合入れて料理作ってると腰が痛くなる。戸棚のブツは取り易いが、流し台が低すぎる。
かがんだときとかよくパンツが出てる気がするが、あれは腰パンしすぎなのではなく、シャツの丈が短い。
いや、ウェスト足りなくてジーンズもズルズル落ちてるんだけど。
丈直しが要らないのは楽でいいな、と思うがそもそも直さなくても合ってないので複雑だ。

身長分けて、に関してはいつまで経っても上手い返しが思いつかない。どうしたらいいんだろう。
もう面倒くさいので「おう、持ってけ」とか言うが、できるわけがないのでお互い微妙な感じになる。
誰も得しないので、あの台詞はこの世から封印すべきだと思う。
今度生まれるときは、その国の平均身長になりたいものだ。

2009/6/19

(※結局言われ続けてますわ)
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