呪い村(Population)436 / おそいひと

 あけでとう。新年早々ろくでもない映画を二つ見たので、記憶が新鮮なうちに記録しておこう。どちらもわざわざか自分で見たかったのかレンタルしたものをまた貸ししてもらったもので。ありがたや。
 呪い村436はYUKEに以前話に聞いていたホラー。
 名前からしてB級感が凄まじい……ワクワクするぜ。
 内容も、話の展開から設定から溢れるシリアスなギャグ感。勿論緊迫しながら見てるわけだけど、なんだろう、なぜかシリアスな間が笑える。
 まず国勢調査官の主人公が仕事でロックウェル・フォールズ/人口436人の村を訪れる。
 村の看板が見えたところで、近くの草原を馬で走る女性を見かける。そしていきなり地味に落馬する。まずここで笑った。
 まぁあとで「ああ、落馬した理由はそれね」と分かるわけだけど、うーん、どんなに役者や風景が綺麗になり、カメラがハイビジョンになっても、B級っぽさというものは隠しきれるわけではないのだろうな。(褒め言葉)
 そして表面上はのどかで牧歌的な生活を送る村人に迎えられ、最初は都会の喧騒を離れるような気持ちで主人公は過ごすわけだが、村にはあるしきたりがあり……という。
 永遠のこどもたちもYUKEが貸してくれて見たわけだけど、あのね、分かった。多分YUKEはここでグッと来たんだろうなというポイントが。
 そしてそれが、俺が「な、ないわー」と思うポイントだということが(笑)
 作品の質がどうのうってわけじゃなく、むしろ結構楽しめることは間違いないんだけど、い、色々とハードすぎる。
 「あれ、これ、オチが、容易に、そ、想像がつくぞ」というのもむしろ高ポイント。奇をてらった作品でないかぎり、こじつけみたいなぶっ飛んだ話の飛び方はあまり好きじゃないもので。カルト映画とかね。
 普段見ない類ってことで、やはり中々面白かった。それにしてもあいつ頭おかしいな。
 B級B級言ってるが、そもそもB級の定義とは、
・低予算(なんかショボい)
・珍しいテーマ(一般的な感覚だとタブーなもの)
・斬新なアイディア
・悪ふざけがひどい(スターシップ・トゥルーパーズとか)
・迷言の数々(フルメタル・ジャケット)
・展開が容易(好きな人にはそれがたまらない、とも言い換えられる)
・逆に、展開が奇想天外すぎる(エル・トポ)
 などの要素を幾つか持っているものを指す。
 そして、映画好きたるもの、B級を愛してこその映画好きだ。B級のBはバカのBと前書いたが、つまり単純にA級に劣るってわけではないのだよ。王道ではできない禁じ手、必殺技があるからだ。
 B級グルメは言い得て妙だな。見てくれはあんまりだったり、ちょっと凄すぎるだろ、っていうものも、食ってみりゃ「あれ、存外、っていうかかなりイケてるよコレ!」なんてザラだしね。
 それでホントに見てくれ通りの味だったりもするけど。(イタリアンのことです)
 イタリアンのことです。
 イタリアンのことです。
 それもまた楽しいんだわ。お得な性格だ、俺って。

 おそいひと、も以前からまーくんのお勧めで話を聞いていた。それにしても、二人ともわざわざ借りてきてくれるとは。恐ろしいほど親切というか。
 おそいひとに関しては事前にネットで調べてみたり予告編を見てみて、これはゾクゾクするぞ、と思って興奮した。
 で、いざ見てみて、「なんでこんなの撮ったんだ」という。まぁ最後まで聞け。
 あらすじとしては脳性麻痺の主人公、住田が失恋を経て、殺人という凶行に何度も及ぶ、というけったいな話。
 あらすじ読んだだけで、吉田雅志らしいやって思ったね。
 総評を先に述べると、World's End Girlfriendの音楽が最高。そしてそれと上手く絡み合ったショッキングな絵面、ヒステリックなまでの映像編集がぶち切れまくっている。これだけで大満足。

 まず俺は映画というものは「非日常」であり「リアリティ」でなければならないと思う。何度も言ってるが。
 つまり、「こんなの金払わねーと見れねーや!!」という劇薬と、差し水のような「もしかしてこれ嘘じゃないかも!」の二つのブレンドが一番重要なんだ。
 あまりに緊張が沸騰すると、気持ちが吹きこぼれてしまう。「まぁ、でも作り物だしね」ってなっちゃったら終わりだぜ。
 そしてこの映画は前半は差し水全開、後半は劇薬全開というピーキーすぎる構成。
 まず障害者というセンセーショナル(俺は別にそうは思わないが)なテーマを生々しく描いた前半は、それだけで健常者にとっては知らない世界だし、すごく刺激的だ。
 後半はホント、摩訶不思議すぎるというか、「ん?ああ……え?」の連続。理屈はどうでもいいから障害者が健常者をぶっ殺すシーンが撮りたかっただけ、という感じもする。
 それでいいけどね。すげーもん見れたから。脳性麻痺の人間が人を殺すために歪んだ体を鍛えたり、包丁の素振りをするシーンなんか、他のどの映画を見返したって存在しないだろう。凄いことだ。
 特に素振りのシーンは痺れたね。おぞましかった。そういえばこの映画はずっとモノトーンで色が無いんだけど、異常に効果的だった。
 あと、「住田さん普通に生まれたかった?」というヘルパーの質問に対し、トーキングエイド(会話や筆談が困難な重度の障害者が使う機械音声の発声器)で「コ・ロ・ス・ゾ」と笑っている場面は戦慄を覚えた。物凄い切れ味だった。
 主人公を演じた住田さん(なんとノーギャラらしい)は、場面ごとに指示を受けて演技しただけで、ストーリーとかは完成したものを見て初めて知って、腰を抜かしたらしい。
 特にこれが珍しい話ってわけではないんだけど、さすがにこの映画の場合は「事前に説明したれや」って思わんでもない(笑)

 個人的に惜しいな、と思った点を幾つか。
・住田が何を考えているのかがいまいちわからない。
 それが恐怖や話の深みであり肝にもなっているのは分かるんだが、いまいち失恋した感じも薄いし、それがきっかけになって狂気に身を委ねた、という観点にしてもやや弱い。
 見せ方が下手というのもあるが、話の引っ張り方がヘボいとも言える。じゃあどうするかと言うと、ここでアングルやレイアウトが仕事するわけだよ。
・意味のわからんショットが多い。
 絵にはなってるんだが、やはり「撮りたかっただけでは……」という印象が拭えない。
 殺人のシーンやトリップしているシーン、オープニングなどが抜群なだけに、余計に粗が目立つ結果となってしまった。まとまりに欠けるのだ。
・そもそも障害者、健常者であるワケ
 住田さんが被写体として優秀すぎるので、そこに頼りきっていたように思う。住田さんファンムービー。俺はそれだけで好きだけどね。
 監督自身が、自身のアイディアと、それを忠実に具現化してくれる存在(被写体とBGM)には出会えたものの、肝心の自分のアイディアを消化しきれず、また、それに振り回されてしまったのではなかろうか。
 一回目の殺人はまぁ、動機は苦しいけど分からんでもない。が、二回目以降は凶行を繰り返す動機も分からんから「ふーん」が混じるのよね。「ふーん」は要らない。

 こんなところか。
 別にこの欠点が治った映画なんぞ見たくもないし、それは「襲い人」ではないのだけど、もう少しブラッシュアップできたら、突き刺さった刃に、遅効性かつ残虐な毒を塗りたくれたんじゃないかと思う。
 などと偉そうなことは置いといて、二つとも大変面白い映画でございました。映画って、本当にいいもんですね。両者に感謝。
 それにしてもWEGはいい……俺はWe Are The Massacre(俺たちは大虐殺)が特に好きだよ。感じる。
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