08
2014

ソナチネ

CATEGORYカルチャー
 北野映画にはかなり好きなものが多い。本数の割りに外れも少ない。
 キタノブルーと呼ばれる独特の色彩感覚、極限まで無駄を削ぎ落とした「日本の夏」感、無慈悲なまでの暴力表現、禁欲的な脚本、久石譲の優れた楽曲(途中で降板しているが)。
 といってもまだ全部見たわけではなく、「座頭市」「菊次郎の夏」「キッズ・リターン」「あの夏、いちばん静かな海」、そして表題の「ソナチネ」。順番がメチャだわ。

 他の作品はいつか紹介するかもとして、ソナチネ。
 寺島進が好きになる。
 なんなんだこの映画の寺島(役名:ケン)は。かわいすぎる。
 元々好きな役者の一人ではあるんだけど。いつも少ししかめっ面で、薄い唇はへの字。永遠の若頭だ。
 あと眼鏡かけてない大杉漣を初めて見れて、なんかお得感ありました。

 脚本は「北野だなァ」という感じ。
 血の気が多すぎて、仲間内の組から煙たがられる組長の村川が、厄介払いで沖縄に数人の部下と飛ばされる。それが罠だと気付いた頃には仲間は次々と減っていくのだが、乱暴ごとに疲れていた村川は沖縄での自然や仲間との無邪気な遊びで、少しずつ刹那的な笑いや人情味を取り戻していく。という。
 ユーモラスで可愛げな部分の多い仁侠映画。
 特筆すべきは無論バイオレンス。キッカケや火蓋はほんの些細なもので、唐突に訪れる銃声、罵声や悲鳴はほとんどなく、ギラついた眼光を散らしながら撃つ者と撃たれる者だけがいる。そして倒れる音。痺れる。撃ち合いはこうでないと。
 唐突とはいうが、ちゃんと見てればあー、そういうシーンに近づいていくなー、とか、あ、敵だ、とか分かるもんで。ビックリ映画ってわけじゃないよ。効果音でかいけど。
 あと北野映画全般に言えることだが、基本的に役者の演技がイモい。北野本人も。そのイモさがどこまで計算か天然かは分からないのだけど、そのイモさも極めて重要な要素だ。
 あと邦画お約束の、台詞の聞き取りづらさ。これはもう仕方ないね。北野映画は特に滑舌や発声もボソボソしているから、基本的に。で、ボリューム上げると暴力シーンの爆音で「ッッィーンッ」。数少ない俺の好きな邦画は大体これなんだよな。やれやれだ。

 あと久石譲の音楽は本当にいい。どんなクソ映画でも凡作かそれ以上になっちゃうんじゃないかって思わせる。さすがにクソはクソのままか。
 よくジブリの楽曲や菊次郎の夏のSummerが取り沙汰されるが、この映画のタイトル曲も最高だ。
 「ソナチネ」   Sonatine Ⅰ~act of violence~
 で、音楽があんまり評価されるもんだから、という理由で降板させる北野武。両方ありきであの完成度なのはあなたもご存知じゃないのぉ~?と問いかけたくなる。多分分かってるんだろう、ならばあえて頼りたくなかったのか、単純に嫉妬というか、そうじゃねえよ!と怒ったのかは知らんけど。

 いやもうよかったよ。すごく良かった。ソナチネはいい。非常にスタイリッシュで幼い映画だ。それ故に乱暴で美しい。破滅の美学、いや、刹那の美学というやつだ。
スポンサーサイト