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2014

レナードの朝

CATEGORYカルチャー
 残酷な映画。
 レビューをさーっと見ると、感動的、奇跡、とかの字が目に留まる。
 あっはっは……。

 とんでもない。
 ちゃんと最後まで話見たのかよ? 最初の一時間しか見てねーんじゃねえかァ?
 久々に映画見て俺はこんなに傷ついた。大分ざっくり云うとアルジャーノンに花束を、だ。この話は。違うのは実話であることと、SFではなく医療ドラマといったところ。
 とりあえずあらすじ。
 主に実験ばかりで、臨床はてんで素人のセイヤー医師(ロビン・ウィリアムズ)が赴任してきた病院は、嗜眠性脳炎と呼ばれる原因不明の難病に冒された患者たちが多くいた。
 彼らはほとんどまともな反応を示さず、廃人のような状態で何十年もそうしている。少年期に発症し、20歳から完全に固まってしまったレナード(ロバート・デ・ニーロ)もその一人。
 誰もが治療の匙を投げ、作業のように彼らの世話をしていたが、セイヤーは各患者が、個々人のきっかけでささやかな反応を示すことに気付き、彼らに新薬を投与する……といったところ。
 主演二人の演技が凄まじいことは言うまでもないので省略。前半は確かに、廃人同然だった彼らが目覚しい回復を遂げる。(因みに原題はAwakening:覚醒)
 中盤から薬の副作用によるけいれん、吃音などが表れ始める。また、何十年も眠っていた浦島太郎状態の彼らは、自らの老化を含めた多大な環境の変化に、大きなストレスを強いられる。内容は割愛するが、後半は更に悲惨だ。

 映画はあくまでセイヤー医師(原作の著者として、実際の患者20人を診察した本を出版している)の目線を重視している。
 彼自身あまり器用なタイプではなく、誰に対しても愛を持って接するが、他人からの愛には鈍感で、持論を展開する際もどうもぎこちない。(マイペースな部分はかなりある)
 そんな彼と、レナードを含めた患者たちとの交流は胸が詰まる。
 目覚めたレナードが生きる事の素晴らしさを彼に伝えたことは、彼の中で非常に大きな力となって映画を締めくくる。
 レナード側の視点で物語を見ると、無残どころの話ではない。俺の心はこれでズタズタ。
 レナードは、入院している病院に父の見舞いに来た、ポーラという女性に一目惚れ。徐々に親しくなるものの、副作用に苦しむ彼は彼女に別れを告げる。その際、彼女はひきつりとけいれんを起こす彼の手をとり、二人で穏やかなダンスを踊る。今思い出しただけで涙がこぼれそう。もう駄目だ。この映画は鬼畜が作ったんだ。感動映画の皮を被った絶望鬱映画だ。騙されたよ。



 それにしてもロバート・デ・ニーロの役作りは本当にプロい。見てる間はさっぱり食い入ってしまって、見た後に「あれこれ演技だっけ」と我に返ることすら難しい。動きや表情のいちいちが繊細で丁寧、かつ自然で的確と言うほかない。他の映画、タクシー・ドライバーとか、ディア・ハンターとかミーン・ストリートとか。もう映画見てる気分にならないんだよ。馴染みすぎて。リアリティが襲ってくる。
 ロビン・ウィリアムスは容貌がすでに役者。笑ったり困ったりしてるだけで顔にドラマが描かれる。もういい。あんたの笑顔が俺は切ない。
 こんな役者、日本からは絶対出ないな。邦画の演技はほとんど子供だましで見るに耐えない。
 思うに、日本人とかいう知恵遅れどもは、同じ日本人に分かりやすく伝えるということを過剰なまでに重視しすぎていて、そのためなら本質を捻じ曲げることも厭わない節がある。いや本質曲げたら伝えるもんねーだろ。
 俺が邦画を見ててすごく癪に障るのが、「驚く演技」の演技をする奴らの多さ。「ええっ!?」とか大勢で声を揃えて言ったりするだろ。わざとらしく目をかっ開いてさ。そんな驚き方する奴らどこにいるんだよ。頭沸いてんのか。没個性的だし。絶対現実で見たら痛い奴らだし。大体、台詞やアクションが揃ってる時点で、キャラだぶってる奴がいることの証明に他ならない。意味ねーし。他にも「悲しむ演技」の演技とかさァ。マジうんざりだよね。くたばる演技でくたばってくんねーかな。
 これはもはや日本に限らんけど、馬鹿の数が多いし、馬鹿は財布の紐が緩いから、全国の馬鹿どもから少しずつお金を集める商売がずっと流行してるしな。マジ寒い。最近はアニメや音楽やなんやまで全部馬鹿向けのコンテンツになってる。馬鹿は喋るな。馬鹿が。馬鹿は馬鹿なことしかどーせ言えないんだからよ。黙って死ね馬鹿。

 また邦画アレルギーが炸裂してしまった。優れた役者や演出を見るとどうしても連想してしまう。予算や市場規模を度外視しても邦画はテイレベルすぎる。全体の次元が低い。
 結構好きな作品あるんだがね。。。おかしなものだね。。。北野映画は詩だよ。あれは素晴らしい。

 レナードの朝。俺は二度と見たくないが、一度は見ておくべき類の映画だ。挫折を味わいたい人なんかはいいんじゃないか。結構折れた。お酒飲みながら見る映画じゃない。落涙。
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