家族ゲームとカセットふー

 最近映画のことしか書いてないな。だって書かないと見たの忘れちまうんだもんよ。
 まぁでもこの映画はアレかね、評価がどうこうじゃなくて「絶対面白いから早く見ろ」「もう見たな」「じゃあもう一回見よ」ぐらいだし。
 いやただの端書というのもな……一応魅了された部分も抽出しておくか。

 家中がピリピリ鳴ってて、すごくうるさいんだ!
 俺この冒頭の台詞でイキナリ掴まれちゃったよ。
 まずタイトルが秀逸だって。家族ゲーム。
 原作は小説なわけだけど、世相を凄い速さで切り抜いたというか。ゲームってついてるからって、予告みたいに作中ピコピコ音が鳴るわけではない。
 家族ゲーム(1983) - 劇場予告編
 っていうか、この予告で良さ全部伝わるって言うね。やっぱ言うことねーや。予告で想像する話の三倍面白いから、見たこと無い奴は早く見ろ。
 松田優作演じる家庭教師のキレっぷりが素晴らしい。凄い役者だ。息子の松田龍平も、今の役者の中では好きな方。しかし父は偉大だ。
 シリアスとユーモアの橋渡しも素敵。描かれている心情は実はシャレにならないものばかりだけど、(エンディングは特に)それが笑いになってるというのがいいんですよ。
 途中、戸川純演じる、近所の奥さんが出て来るんだが、これがもう戸川純はまり役すぎて笑える。超ウザい。ウザかわいい。こういう人稀にいるよね……という。いやホントおっかしかったなァ。

 この映画の特徴の一つに、BGM無し、際立つ咀嚼音と嚥下音、というものがある。
 俺が心惹かれる作品はどれも、食事の場面が印象的だ。映画然り漫画然り。
 言うまでもなく、食事というものは日々の生活の営みの中で、睡眠同様欠かせない要素だ。おまけに一日三回もある。誰にとってもだ。
 これをどう描くか、というところに最もその創作家のセンスが出ると言っても過言ではない。献立は勿論、食器、テーブル等の調度品、食べる相手との位置、椅子の座り方、ナプキンの使い方、パンのかじり方、コーヒーに砂糖は何杯か、等々。
 キャラクターに現実味を持たせることも、個性を際立たせることも簡単だ。主人公(視聴者)に不愉快な奴だと思わせたければ、例えばクチャラーにすればいいし、貧乏ゆすりさせればいいし、店員に横柄にさせればいいし、口からポロポロこぼしたり、ナイフとフォークを必要以上にカチカチ鳴らさせればいい。
 食事は命を食べる、奪うという行為なので、それにどう向き合っているかでそいつの殆どが決まる、とも言える。
 逆に言えば、ここで魅力を出せない作品は駄目だ。絶対駄目。食事の場面がないなんて言語道断。(SFなんかは意図的に省いているように取れるが)
 当然だが、例えば物語の尺が100日だとしたら、300回食事のシーンを描けって言ってんじゃねーぞ。300回の中で1回はあるであろう印象的な一場面を繰り抜きなさい、ってことよ。

 そうだなー。ジブリ全般、特にラピュタなんか、すっごく分かりやすい。
 まずパズーの目玉焼きパンを、シータが食べるところ。シータのおしとやかな性格と、後先省みない冒険心(笑)が惜しみなく表現されているね。残りは食パンだけで食うっていう。
 で、空賊の親分ドーラね。もう分かっただろ? あの、ハムにナイフを突き刺して、引き千切るように食べるところ。なんだあのハム。食ってみてー!! ドーラの豪胆な性格が一目で分かる。そのあと食い物全部吹っ飛ばすし。

 バッファロー'66なんかで言うと、刑務所から出てきて、拉致した女の子を嫁と偽り、久々に実家に帰ってきた主人公。真四角の食卓を4方向から囲む、という変わったショットの奴ね。
 露骨すぎるほど親に愛されていない主人公だが、それでも悩むときの姿勢が親父とソックリだったりね。食事中でも母親はテレビでやってるアメフトに夢中で、団欒そっちのけ。
 こんな調子の家庭で育ったらそりゃひねくれるわ、と主人公の生い立ちを一気に視聴者に理解させる。この映画、無駄のない脚本や、BGMのイエスの使い方、ショットの見せ方も色々と面白い。今のところ、レオンに並んで僕が一番好きな映画だ。同率一位、いっぱいあるけどね……。

 で、家族ゲームに戻ってこよう。ご存知の通り、この家庭の食卓は狂ってる。4人家族、横一文字。
 これ!
 これです!
 食卓がおかしな家で子供はまともに育ちません! そりゃあ話だってまともに進みません!
 終了!!
スポンサーサイト