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鳩 正義

Author:鳩 正義
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最高の映画

10 11, 2014 | カルチャー

 日頃映画に点数をつけたりとか、そういう下世話な真似はしない。
 自分のみに尺度を置いてさえ、永劫絶対の値というものは存在しないからだ。無論最低限はある。琴線に触れるかもそう。しかしそれさえもまた移ろい変わるのだ。そうたんぽぽのように。なんのこっちゃ。
 ちんぽぽ。

 しかし、世の中には「これは満点」という揺るがない名作というものが存在する。数多のアンサンブルが調和した奇跡の作品たちだ。
 これから紹介するのは「困ったことに満点」という作品。なぜ困るのか? 最高点を知った、一番を知ったあとの空しさを君は知っているか?
 脅威の感動の後に、波が引いて残るあの無味乾燥とした砂漠。恐ろしい。完成とは恐ろしいのだ。

 まぁ前置きは置いといてチラホラと。最高の映画と併せて、最高でもなんでもないけど単に面白い映画も表彰しちゃう。

 犯罪映画部門
 ゴッドファーザー
 はい。これには参ったね。これによって俺はマフィア映画の面白さに気付かされたが、これによって僕の中でマフィア映画の有象無象がこの境地にたどり着かないのだ。
 例えばグッドフェローズなんかは、トレインスポッティングのように主人公のモノローグに付随して話が転がっていくが、マフィアが軽妙な語り口で喋ると、こうも話が面白くなるのか、と痛快な気分になる秀作だ。
 しかしゴッドファーザーに遠く及ばない。いや比べること自体が間違っているのだ。以前紹介したが、ゴッドファーザーは単なるマフィア映画と呼ぶには、あまりに器が大きすぎる。
 というわけで満点です。困りましたね。
 スーツの男たちがコードネームで呼び合うってだけでズルい賞:レザボア・ドッグス
 ハイセンスすぎて、これ好きっていう奴は結構痛い奴が多い賞:時計じかけのオレンジ

 詐欺師映画部門
 スティング
 コンムービーも古今東西人気のジャンルではあるが、名優、名脚本、名シーンとなるとこれでしょう。反論は大いに認める。
 個人的にはジョジョのダービー戦(ポーカー勝負)でジョセフが見せた、名前をわざと間違えて相手を挑発する、という元ネタが見れただけで大満足でもある。
 まぁそもそもポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが目玉裏返るほど色男っていう、それだけで十分。ぶっちゃけ。
 みんな冴えないのにこの感じすごいね賞:ユージュアル・サスペクツ

 アクション映画部門
 レオン
 名キャスト、名脚本、名BGM、名悪役と揃えばまさにこれ。美少女と寡黙な殺し屋のオッサンというコンビが「やられたな」という。
 下手すりゃ中学生の書いたラノベもどきみたいに陳腐になるテーマを、これだけ可憐かつスタイリッシュに描いたリュック・ベッソンの手腕は凄い。聞けばフィフス・エレメントの予算を調達するために録った映画で、脚本なぞ2週間で書いたものだという。そのテキトーさ加減が、これほど洗練されたコンセプトへと繋がったのか。
 メインキャラクターに絞るとたった3人だしね。話もややこしくない。おまけに終盤のシーンの無駄の無さといったら素晴らしい。
 エリック・セラの重厚で色彩豊かなサウンドも、ジブリや北野作品における久石譲並に重要なポジションを占めている。
 満点もそうだが、完璧な映画と評した方がしっくり来るかもしれん。
 ちなみにこのジャンルは次点でパルプ・フィクション。タランティーノも大好きなんだけど、タランティーノの良さは最高点ではなく「狙ってカルト」「狙ってB級」であること、そんな風に解釈しています。
 マトリックスよりこっちだよ賞:リベリオン
 内容とテーマ曲の相性が随一賞:TAXI

 SF映画部門
 ガタカ
 SFは名作傑作の宝庫であるが、一般的な映画の2時間尺、一本としてのまとまりを考えるとこれではないか。スターウォーズとかスタートレックとかはぶっちゃけピンとこないのよね。なんか、小便くさいっていうか。それが悪いって意味じゃなくて。
 ガタカはSFにありがちな管理社会、ディストピア系の話一歩手前でありながら、主人公の持つ希望のエネルギーが素晴らしい。真の人間賛歌の一つだ。
 おそらくバックトゥザフューチャーを見ればまた順位が変わることは分かっているが、如何せん見てないことと、見たところでガタカも推奨することは変わらないのでこれで良し。
 それにしてもこいつらノリノリだな賞:スターシップトゥルーパーズ
 いつもみんなの心に賞:ターミネーター2

 監獄映画部門
 ショーシャンクの空に
 っていうか真の主役はモーガン・フリーマンだよね。
 それだけでもう十分。
 同じ原作者でこの差はなんだ賞:グリーンマイル

 ミュージカル映画部門
 雨に唄えば
 つい最近見てビックリした。ミュージカル映画を俺は誤解していたよ。この映画は素敵だ!
 ジーン・ケリーもさることながら、序盤で踊り狂うドナルド・オコナーを見たときには興奮が覚めやらなかったよ。この二人色々と凄すぎる。真の芸人だ。
 時代の流れ、逆境をアイディアでチャンスに変える、という鉄板をなんとも気持ちよく描ききった快作。映画でトキめいたのは久々だった。
 映像と音楽のシンクロの原点にして到達点賞:ファンタジア

 音楽映画部門
 ブルースブラザーズ
 バカ騒ぎもここまで来ると大したもんだ、豪華すぎる面子、豪華すぎるアクション、映画が人々の夢でありロマンであるということをこれ以上なく体現した映画。
 僕を含めた群集が見たいのは、派手なCGや美麗なハイビジョンなんかじゃない。”贅沢な”映像なんだ!! カーチェイスのためにわざわざ閉鎖したショッピングモールを作り直し、またぶっ壊す。そういうバカさ加減だよ!!
 そういえば、オトナ帝国のオマージュの元ネタがまさかここだとも知らなかった。こういうウィンクはたまらんね。こう、長いときを経て伏線が繋がった感じ。
 ゴスペルって実はロックじゃね賞:天使にラブソングを1、2

 ロードムービー部門
 リトル・ミス・サンシャイン
 これは非常に迷った。ロードムービーは良くも悪くも似たり寄ったりなのだ。旅路の上で起こる破壊と再生、あと綺麗な景色。そんだけ。ロードムービーはいかに道を美しく切り取るかだ。
 しかし旅の上で変わったもの、変わらないもの、取り戻したもの、その群像に立ち直るとすればこの映画で決まりだ。
 状況は好転どころか、酷い有様に転がっただけなのに、この前向きさ加減はイケてるよ。どんなネガティブな出来事や挫折も、超マジ気の持ちよう。死人も出てるのにこのお気楽さ。
 トラヴィスはカウボーイの格好ってお約束でもあるの賞:パリ、テキサス
 ガエル・ガルシア・ベルナルの目が綺麗すぎる賞:モーターサイクル・ダイアリーズ
 心はいつまでも若いで賞:世界最速のインディアン、ザ・ストレイト・ストーリー

 ミニシアター部門
 バッファロー'66
 童貞最強。
 邦題がクソすぎたけど結構いい映画なんだよ賞:バス男

 ロマンス部門
 カサブランカ
 君の瞳に乾杯、ぶっちゃけこの一言がある時点で勝ったも同然。見てるこっちが鼻水垂れるほどハードボイルドなハンフリー・ボガード。気障な台詞のいちいちが渋すぎる。
 個人的に「そんなに昔のことは忘れた」「そんなに先のことは分からん」のくだりも好きだ。そんなの一生言う機会ないんですけど。
 大体、このあたりの映画は邦題とか台詞の訳とかがキレッキレすぎる。明日に向かって撃てとか、第三の男とか。後者に至っては直訳なんだけどな。なんだよそれ。
 こんなにキツイ顔の美人あとにも先にもいねーわ賞:ひまわり

 ホラー部門
 SAW
 ソリッド・シチュエーション・ホラーというジャンルを開拓したCUBEと迷ったけど、それをより洗練されたアイディアで魅了した此方に軍配が上がるかな。どちらも続編が右肩下がりという……。
 まァそもそもホラーっていうとゾンビ映画とかシャイニングとか、もっと言うと13日の金曜日とかエクソシストとか、そういうのなんでしょうけど。あーゆーのってホラ、演出が全てじゃん。やっぱり話で魅せてほしいわけでさ……。
 みんなのトラウマ賞:チャイルド・プレイ
 クリスティーナ・リッチはこの頃から可愛い、あと手、賞:アダムスファミリー

 ヒューマンドラマ部門
 ギルバート・グレイプ
 これも迷った。けど僕はこの話がとにかく好きだ。自棄に好きだ。なんて言えばいいのか、、、こんなに説明が難しい話もないよ。ホント、サリンジャーの小説みたいなもんで、良さっていうのが画面全体に飛び散ってるんだ。
 どこそこが良いとかじゃなくて、端から端までが全部、ちょっとずつ良いんだな。全部がちょっと良いと、結果的に凄く他のものが敵わないみたいに良くなる。それはまるで魔法だと思う。
 よくこの内容でタイトルつけたよな賞:ライフ・イズ・ビューティフル
 会話と目力だけでこんなに面白い話他にないっ賞:十二人の怒れる男

 ”映画”映画部門
 ニューシネマ・パラダイス
 いや他にないでしょ。

 以上。まだまだ名作と呼ばれるもので見てないものも多いので、もしかしたら最高の映画は増えるかもしれないが、これらがランク落ちすることもないだろう。君の参考になるかは分からないが。
 邦画が一切入らない結果になったが、なんというか……たまたまだ。洋画と邦画どっち見る? と言われたらとりあえず洋画選ぶ人なんで。音楽でもそうだけど。
 いやぁ、映画って本当にいいもんですね~。
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