アレックス / アウトサイダー / ランブルフィッシュ

 作品というものは、抗いようも無く製作者の感情や性格や性癖が吐露されてしまうものだ。
 ゆえに人の心に突き刺さるとなれば、およそ二つの種類に大別できる。
 それは本当に人を傷つけようとしているのか、あるいは本当に人を癒そうとしているのか、だ。
 心とかいうものは困ったことに、どちらの薬を処方するにも一度深く突き刺さなければならない。
 そう、僕が最近足をパックリやって12針縫う際、何が痛いって麻酔が一番痛かったことと同じように。Oh my goodness。

 アレックスという映画は間違いなく前者であり、後述の二つ、及びフランシス・フォード・コッポラはきっと人の心を癒そうとしているのだろう。
 いやぁしんどい映画だった。メメントと同じ逆回しのシナリオと聞いて見ることにしたが、冒頭からウンザリするほどカメラがぐるぐるぐわんぐわんして、最初にハッキリ映るのがデブ親父の裸。これほど視聴者を試す映画は久しぶりだ。
 狂った奴しかいない、まるで怪物の体内のようなゲイバーを彷徨い、カメラは嫌がらせかと思うほど落ち着きが無く、ちょっとは話が展開されたかと思うと、消火器で人の顔を何度もぶん殴るという有様。酷い。なんだこれ。
 その後も鬱屈とした雰囲気のままレイブパーティー、やたら長尺のレイプシーン、セクシャルな会話、後でレイプされる女と主人公が朝から恋人らしくイチャイチャ、最後にはポケモンフラッシュとレクイエム・フォー・ドリームみたいな圧迫感のあるBGMで終焉。
 人に勧められるような要素が全く無い……。
 僕はトラウマ映画を好んで見る傾向にあるから比較的慣れてるが、これほど視聴者をコテンパンにする目的の映画は久々に見たなぁ。
 多分ショッキングな部類に入るんだろうけど、結構面白かった。
 レイプ自体と、又そういうテーマにさほど驚きを感じないからだろうか。序盤からトップギアだから、ある意味「これ以上酷くはならねーだろう」という安心感もあったしね。

 アウトサイダー
 んん。こういう小品な作品も撮るんだな、というのが最初の感想。定番の演出やストーリーをあえて踏襲したかのようだ。
 貧乏なグリースと金持ちのソッシュという二つのグループの対立構造、そのどちらからもはみ出た(アウトサイダー)主人公。夕暮れを美しいと感じる彼の感性を「Stay gold」と諭す友人。慈愛の失墜を目の当たりにして、ついに暴発する兄貴分。
 いい話ですよ。ただ、終盤、友人の手紙を読み返すシーンで友人の顔が空に浮かんで、読み上げるのを交代するのは「ああー、やっちゃったかー」という感じ。多分、コッポラが意図した視聴者層に届く手法を選んだのだろうが……。
 ま、ケチつけるというより、”時勢”ってしょーがないね、という諦観です。
 あとモブで出てくるソフィア・コッポラがブス。
 ゴッドファーザー3でもちょっと思ったけど、小さい頃はもっと酷い。なんだこの歯は。

 ランブルフィッシュ
 小品第二弾。これはすごく良かった。
 そもそも、何故ミッキー・ロークが何かとチヤホヤされてるかが、僕にはとんと分からなかったんだけど、これを見てようやく分かった。この頃の彼の皮膚に流れる詩情が、今尚そうさせているのだな。(まだレスラーを見ていないから細かいツッコミはやめてくれ)
 マット・ディロンもアウトサイダーよりこっちの方がいい。「クラッシュ」のときには単なる嫌味な眉毛としか思わなかったが、若いときはこんなに格好よかったんだね。精悍かつ美しい。
 若者が乱闘騒ぎって意味ではアウトサイダーと変わらないけど、ミッキー・ローク扮する「モーターサイクルボーイ」が映画自体に品格を与え、白黒で整えられた画面に、いっそ魅惑的な色調を注ぎ込んでいる。
 本名が出ないのがまた渋いね。モーターサイクルボーイ。ジャケットに惚れた感覚は正しかった。
 唯一画面の中で色づいているランブルフィッシュがまたニクい。こういう演出はベタでいいんだよ。素敵。たまらないね。
 これは凄く好きな映画です。溜息が出るよ。
 バーテン?みたいな役で出てるトム・ウェイツもスパイスになっている。声で分かる。どっかにいるな、と。
 あとモブで出てくるソフィア・コッポラがブス。
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