エル・マリアッチ / デスペラード / デッドマン / メリーに首ったけ / 愛してる、愛してない…

 エル・マリアッチ
 もともとレジェンド・オブ・メキシコが見たくて、そしたら一作目の作品がなんと7000ドルという超低予算で作られた映画と聞いて、それから見てみた。
 マリアッチという、歌とギターで日銭を稼いで放浪する(いわゆる”流し”ですな)主人公が、ひょんな誤解からヤクの売人に狙われる、という話。
 途中で誤解が半ば真実へとすり替わり、ギターではなく銃を持って大暴れ、なんて話。ギターケースを開けたら銃、というアイディアが渋い。

 到底7000ドルとは思えない優れた出来だったが、インディーズ映画、もっと言うとB級映画の枠は出ていないな、というのが正直な感想。アイディア自体がB級なのは置いといて。
 まぁやっぱり映画というものは人間が登場人物なので、役者の質が握ってるんだなと。
 ただ、チープながらも洗練された演出やプロットだけでここまで映画足りえるんだな、というのに驚いた。
 「映画っぽさ」、もとい「作品っぽさ」がどこから来てるかが興味深いところだ。きっと、それを指して「技術」と呼ぶのだろうね。

 映画の内容より、どちらかというと、特典映像の「いかにして7000ドルでこの映画を撮ったか」、という監督の10分間の説明が面白かった。
 コンセプトが弱いと判断がつかず、金だけがどんどん浪費されて無駄でぱっとしないカットばかりになるんだな、ということ。これはもう創作全般に言えることだね。
 アイディアと見せ方さえ把握して、ビジョンを見据えていれば、お金も10分の1ぐらいには抑えられると思う。
 安上がりなものの魅力をどう浮き彫りにするか、豪華な一点モノをどう再現するか。金さえあれば豪華なものが作れるっていうのは欺瞞と傲慢だね。
 なんてことを考えさせられる映画だった。

 デスペラード
 上記のエル・マリアッチがヒットして、予算が出たので作られた映画。半リメイク、半続編といった具合だ。制作費は700万ドルだそうなので、なんと前作の1000倍。面白さも1000倍といきたいとこだが、そんな上手い話はなかった。無念。
 でも主人公がアントニオ・バンデラスに変わって、それだけで映画の質が50%ぐらい上がった。ホントに。目力って重要だな……。
 「作品っぽさ」というものを捉えたクリエイターが、潤滑な予算を手にすると、ここまで想像力が飛ぶよ、という。
 話の内容は前作と同じでなんとなくアホっぽい、娯楽映画だな! って感じだけど。エル・マリアッチを見た後だと妙に親近感が沸いてしまう。あの子がこんなに立派になったのかぁ、みたいな。変な楽しみ方だ。
 ギターケースを開けたら銃、というアイディアが更に進化して、ギターケース自体がロケット砲、マシンガン、というおバカ度に磨きがかかった内容。
 肝心のレジェンド・オブ・メキシコはまだ見れていないが、期待が高まるばかりだ。初めから見てよかった。

 デッドマン
 奇妙でリリカルな映画の名手、ジム・ジャームッシュ。白黒映像とジョニー・デップで描かれる耽美な映像。
 ざっくり言うと、仕事にあぶれた会計士ウィリアム・ブレイクがインディアンのお告げみたいなもので一流の銃士にして詩人へと昇華していく、という意味不明なストーリー。
 ウィリアム・ブレイクという実在の詩人がいるのだけど、体制に猛反発したその生き様を、ジャームッシュなりに投影して描いた作品と捉えると分かりやすい。
 インディアンや指名手配される主人公、ボートで海へ流されるラストシーンはその顕著な隠喩ではないだろーか。
 けど実際その辺はどうでもよくて、オドオドした眼鏡のデップが研ぎ澄まされた刃へと変貌していく様が単純に美しい。
 心臓の隣に弾丸が寄り添う男が、詩人へとなっていくお話、それだけでとっても綺麗だと思わないかい。

 余談だが、デップの顔が僕はいまいち覚えられない。格好いいんだけど、目を離すとすぐに印象がぼやける。僕だけか?
 僕はこの特色こそ魅力だと思っているので、某カリビアンみたいな極端なデフォルメが効いたキャラはむしろデップにはミスマッチだと思う。
 没人間性、という意味ではシザー・ハンズはうってつけだけど。なんとも言いがたいね、この辺は。

 メリーに首ったけ
 久々に見直してみた。ラブコメの中でもこれが妙に好き。
 キャメロン・ディアスの魅力もそうだけど、それに奔走する男達の情けなさ、悲喜こもごもが見てて楽しいやら切ないやら。
 恋の至上の形は片思いだと僕は思っている、その馬鹿馬鹿しさと初々しさと健気さがたまらないね。
 恋愛において女はプロフェッショナル、男は永遠に素人だからね。

 愛してる、愛してない…
 ラブコメ……? アメリで有名になったオドレイ・トトゥのサイコサスペンスロマンス。
 正直あまり褒めるところがないな……怖がるのもいいけど、どちらかというとポップコーン食べながらハハハって笑うタイプだと思う。
 既婚男性に恋する女が、別れてくれないってんで段々様子がおかしくなっていく話。それだけなら別に普通だけど、別れてくれない理由に、話の最初から奇妙な違和感があって、その理由はなんだ? みたいなのが見所。
 うーん。あ、とりあえずこれは個人的には片思いにカウントしないです。
 フランス映画のくせにフランクすぎるんだよ、まったく。もっと硬水のようにふんわりと喉につっかかるような感じが欲しいね。それでこそ見た甲斐があるってもんだ。
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