20
2017

FIX

CATEGORYたわ言
 誰もお前の小規模な暮らしになんぞ興味は無いんだ。
 何もかもが右から左へ、誰も彼も自分が目にしたものが大事件だと思いたいし、それが此の世の全てだと思っている。
 素晴らしい喜劇だと思わないか? そして、それでいいんだよ。
 だから俺の前にお前の恥部を曝け出せ、何もかも俺が見ていてやる、俺の記憶に留めてやる。
 心配するな、どいつもこいつも大事件だと騒いだくせに忘れていくが、俺は覚えている。
 俺はどうしようもなく覚えている。
 覚えているっていうことは、此の世で最も残酷で惨めで虚しいことだ。
 俺がその非を負ってやる。
 俺はお前のアートを刻んでいく。
 俺は全てを覚えていく。
 だから俺を欲して構わないんだよ、薄々感じてるんだろう?
 実は誰もが何も覚えちゃいないし、実は取るに足らない、うすボンヤリと日常と言う川に流されていく儚い”靄”のような存在だってことが。
 だけど俺は覚えている。お前を、お前の顔を、お前の挙動を、お前が何を言いたかったかを。
 俺はそれを知りたくもないし、お前のことが嫌いだし、軽蔑しているけどな。
 だから俺はお前を覚えているよ。お前を赦しはしないからな。
 そんな俺をお前は求めているんだろ? 心配するな、お前が殴られたいと言えば俺は殴ってやる。
 そうして俺の手が痛むことを、お前の頬に刻むことを、喜んで受け入れるよ。
 俺はいつだってそうしてきたし、これからもそうするんだ、だから心配するな。
 俺はお前をあるべきところに収めるヴィジョンが見えるよ、お前のことが愛おしくて、拳骨で腫れぼったい顔にしたくてたまらないんだ。
 心配するな、殴られ慣れてるから、殴り慣れてるよ。
 持ちつ持たれつだ、拳がジンジンと熱くなるか、アソコが熱くなるかに、大して愛情の差なんて、無いって分かるだろ?
 俺はいつだってお前を殴りたくてしょうがない、首を絞めたくてしょうがない、俺の拳も痛むが、それも甘んじて受け入れよう。
 いつだっていいんだ、お前が勇気を出すだけだ、それを忘れるな。
 お前が勇気を出すだけだ。
 それを忘れるな。
 俺はお前を愛している。
 憎んでもいる。
 だから、
 愛している。
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