17
2017

ほぞ

CATEGORY
 芋煮や、
 ゴミ捨てのルールや、
 あいさつ運動や、背の低い花や、
 量販店の服や、
 誰も出歩かない夜の駅前や、
 好きな子の部屋の灯りや、
 しけた畑があるだけの小さな山や、
 テレビしか話題が無いことや、
 切れかけの街灯が、
 心底嫌いだった。
 本当に嫌いだった。
 みんなが不眠症の変態だったらいいのにと望んだ、

 身体中に塗りたくったジャム、あとでシーツがべとつくとか、そんなことは考えなかった。
 指に付いたそれを舐めとる仕草がセクシィじゃなかったら殺すの。
 芯から欲しい唾液は甘い味すらする。
 熱病みたいにクラクラする、怯えて痩せてやつれた少年が少しだけ目の色を変えて、それがまた気持ちが悪い。

  「現場監督の末路って知ってる? 末路。
 僕の知り合いで、下請けがクレーン車倒して隣のマンション2人殺した責任取らされた奴がいるの。
 日本には6000以上も島があるんだけど、その島の一つで、何も無い部屋の一室でね。
 そいつ壁ずっと見てる。
 真っ白の。
 これ見て反省してくださいって。一日八時間」

 折り鶴を折って、最後に腹を膨らますとき、僕のを取ってしれっと息を吹き込んだ。
 骨が上下して皮は隆起してそれが戻って、綺麗な喉笛だなって思った。
 その瞬間、罪悪と後ろめたさに、自分の感情を恨んだ、感情があることを恨んだ。
 机と喋る、引き出しは鉛筆の戦闘機と消しゴムの爆弾、それ以外は特に要らないって。

  慣れない草冠の作り方、指先は草の匂い、爪の間に緑の液、曇った空が妙に綺麗、
 下級生がはしゃぐ声、気が狂いそう、グラウンドに強い風が吹いて砂が脛に当たる、目に入って涙が溢れる。
 知り過ぎた子供、自然は狂気を孕んでいた、小川のせせらぎで骨が腐りそう、腹這いに死んだ蛙。
 でももういいんだ。

 ジェラート、岩礁、白いサーフボード、野球帽、
 シロツメクサ、ストライプのスーツ、太鼓の音、
 ウサギの着ぐるみ、澱んだ白目、小さな車、シャボン玉、
 遊覧船、モヒカン、ゴミ収集車、口笛、鬱陶しいラジオ、
 爪先の尖ったブーツ、濡れた雑誌、冷たい手、誘拐犯、試遊機の行列、迷子放送、
 潮の匂い。

 「大往生した爺さんの献体を開腹したんだけど、正直体の中身より馬並みにデカいペニスにたまげたもんだな。
 女の子なんか「すごーい!」ってまたそれをビヨンビヨン遊ぶワケ。
 医学の発展っていうか、まぁそりゃ仕方ないなってくらいの感じ。でもアレ見て献体はよそうって思ったね」
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