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鳩 正義

Author:鳩 正義
Ghetto HP
Ghetto

出演-------------------
9/5@池袋adm

9/8@三軒茶屋HEAVEN'S DOOR

10/22@三軒茶屋HEAVEN'S DOOR

11/1@両国SUNRIZE

12月未明@両国SUNRIZE


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悪童の乖

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7/21

07 22, 2017 | ライブ

 2017/07/21
 両国SUNRIZE
 【両国無法地帯】
 Ghetto Chapter63
 「Faint」
 1.MOON
 2.DAWN
 3.MADARA
 4.RIVER'S EDGE
 5.ORPHAN
 6.OIL

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 人の輪郭が泡になって弾けた、水面まで浮かび上がったなら、差し込む光の角度で色は幾つにも変化した。
 泥のようになった身体を抱きしめて、まどろむように森の中を歩いた。
 夜露と霧が肌を冷やして、幾つもの妖精が揺れる軌道を描いて奥へと飛んでいく、桃色の鮮やかな残像。
 万華鏡のように散らばった葉の隙間を、道化のような黒い影が何度も往復してありきたりな冗談を耳元で囁く。
 何から逃げ出したのか、どこへ向かおうとしたのか、それすら分からなくなった。
 もう誰も傷つけることのない、もう誰も憎む必要の無い、森の奥、海の底、霧の中、霧が晴れたら崖の上で日が沈んだ水平線と、燃えるセダンのトランクで轟々と花束が燃えている。
 全部燃えていく。写真も香水もあの人の亡骸もヴァイナルもピザも蒸留酒もギターも。
 殺人鬼がバールを振りかざして、独裁者のようにスピーチをする。俺の頭を殴り砕いてくれるよう、跪いて必死に乞うのだ。
 でもふと、煙草に火をつけてどこかに行ってしまう。もう身を投げるしかない。

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 倒産したばかりの工場、車の内装品を作るライン工場。午前二時。夏の夜。給水塔の梯子をケンジが昇っている。上から写真を撮りたいと言っていた。
 コの字の建屋で、真ん中のB棟、神待ち掲示板で釣った消防士をタツキとエイスケがまだシメている。アルミテープで縛り上げるまでは手伝った。
 目をふさぐ前、真っ赤に充血した目が印象的だった。瞳孔の開いた目は光線を発射しているようだと思った。
 家出少女役のユカリがお酒を買ってこようよ、と行った。何がいいと聞いたら、チューハイならなんでもいいと。
 眼球の裏側が痛い。肺の奥まで空気が入らないし、鉛のように足が重い。きっと俺は向いてないことをしてる、無理をしてる、コンビニに行く道中でそんなことを考えていた。
 少しばかり高揚感を感じたりするのは、結局のところカラオケでケイが言っていた「センセー達が守ってくれてるって頭のどっかで分かりながら、はしゃいでるだけ」ってヤツだ。これはもうその範疇を越えてはいるが。
 進学校は陰険で誰を蹴落とすかいつも嫉んでる猿ばかり。怪物の腹の中のような小さな社会をコンクリートで押し固めた、気持ちの悪い蟲毒の壺だ。
 無理して悪戯でもなんでもして、それはいつも自分が猿であることを誤魔化すためだった。
 あいつらがそれを自覚していたのか、俺には分からない。タツキは自嘲的に悟っていた節はある。俺はあいつらを見下して安心していたかもしれない。いつも少し輪の外で見てヘラヘラ笑って、飽きたら遠くの家の明かりばかり眺めていた。
 もしかしたら見下してる人間を一人、傍に置きたかったのかもしれない。
 あるいは物事はもっと馬鹿馬鹿しくて、あの子と仲良くしてやってと、独りで寂しい子だからと大人に言われて取り合えずグループに入れていたのかもしれない。
 時折愛玩動物が世話をされているような、面倒を見られているような、そういう胡散臭さや気だるさを感じないではなかった。最初はそれもお互い面白かった気がするが、もうきっと皆飽きていた。
 興奮が欲しかった、地球に爆発して欲しかった、隕石が雨のように降って欲しかった、山ほどの火薬が欲しかった、なんでも言う事を聞く奴隷が欲しかった、クロムハーツの指輪が欲しかった、エアジョーダンが欲しかった、ヘ××ンが欲しかった、睡眠薬が欲しかった、シャンパンが欲しかった、札束が欲しかった、ハマーが欲しかった、雷を自由に操れる能力が欲しかった、なんでも話せる友達が欲しかった、好きなときに好きなだけ利用できるバッティングセンターが欲しかった、ワンピースのエースのような兄貴が欲しかった、マイナーな雑誌を販売日に売ってくれる店が欲しかった、話の分かる発明爺が欲しかった、自家用ジェット機が欲しかった、グアムが欲しかった、ゴツい拳銃が欲しかった……。
 コンビニで買った氷結を一気飲みして、早速おぼつかなくなった視界で俺はそのまま帰ることにした。なんとなく、このまま放置するだけで彼らに会うことはもうないだろう、とそんな気がした。ユカリともう一発やっといた方がいいかなと少し頭をよぎったが、それよりも遥かに独りになりたかった。
 少しいい気分だった。軽く地面を蹴るだけで長距離トラックも追い越せそうな。
 遠回りして、広い国道を携帯CDプレイヤーでメテオラを聞きながら俺は歩いて帰った。
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