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ビジネス

 なんだかんだ曖昧な友人関係に疲れると、金銭関係でビシッと折り合った関係が楽な時がある。今はそう。
 バンドマンは金が無いとか困ってるとか、ダサい奴らがしこたま発信してくれたおかげで、ごく一般的な人でもそういうのは周知の事実らしい。
 上京したての頃、昔からの馴染みと飲んだとき「ライブするなら声かけてくれよ、じゃないと色々大変だろ?」と言われたものの、一度も呼ぶことなく四年が経った。何も大変じゃなかったわ。
 俺やGhettoは上京したての頃、そこらのバンドマンと比べるとやや特殊な事情もあり、条件的には相当恵まれた環境で続けることが出来ている。というか、こういうのは就職と一緒で、よほどの契約更新が無い限り最初の条件が一生続くようだ。
 勿論これで「ラッキー、金かかんねーわ」となる能天気な性格ではなく「代わりに何ができるだろう」という課題が頭を悩ませる。これも人によっては贅沢な悩みだろうね。

 少し開放的に話すと、俺はライブ人生で集客というものを一度も頑張ったことが無い。ノルマを満額払ったことも無い。これが格好いいかと言うと、むしろ比較的ダサいと思う。一生懸命友達作って物販で愛想売ってなんとか押し売りしつつ、ライブ前には見に来いメールを送り付けまくる。これ全然ダサくない。格好いいと思う。迷惑だけど。
 ネット上では頻繁に「ライブハウスも出演者は勿論全員カワイイと思ってる、本当はお金取りたくない。でもノルマ20枚で、と言ったら100人呼びます! って返してくれるバンドが好き。そういうバンドはでっかくなる」という、主にライブハウス側の言説を見る。
 俺は全面的に、これは正しいと思ってる。そりゃそうだ、でなきゃハコ潰れるよ。売れたかったら沢山の人に見てもらう、これ当たり前。
 ノルマというのはその額を払えばライブできます、という数字ではなくて、文字通り「最低これくらいは呼ばないと」っていう諸々加味した上での数字なわけ。
 じゃあ集客頑張らないのは売れたくないんだ? って言われると、うーん。君から見ればそうかもね。
 というか、「売れる」ならいいけど「売りつける」のが嫌いなんだよ。根本的な体質に「売りつける」があるよね、ライブハウスという文化には。チケットにせよ物販にせよ。景気のいいライブハウスの「景気」の実情は大体これだったりする。エグい。

 要は大事なのは金額じゃなくて「体験」。音楽、特にライブはこれに尽きると思う。
 俺だったら風俗に万単位お金出すのマジであり得ないんだけど、人によってはそのぐらいお金出さないと得られない体験なんでしょ? 逆にその辺の人からすれば、違いもよく分からん謎の小道具や小さい箱(エフェクター)に数万とかもあり得ないだろうし。
 今はずっと音源のミキシング、マスタリングをしているんだけど(本当にずっとしている、もう三年ぐらいしてる気がする)、どういった体験を聞く人にしてもらいたいか、そういうところでずっと頭を悩ませている。
 カッコよさをとるか、聞きやすさをとるか、とかね。カッコいいと耳が疲れるんですよ。長時間聞いていられない。でもダサくしてまで聞きやすい音って、それ何のために作るんだよって感じだし。
 うちのスタンスで言うと、ライブの再現とか、逆に音源をライブで再現とか、逆に誰がそんなこと期待する? って感じでしょうし。
 この体験というものばかりは数字化が難しい。完全に主観だからね。これに金額つけるって凄いことだよな、と思う。
 チケットも一緒だよ、2000円(+ワンドリンク)って結構な額じゃない? 映画観れるじゃん。ハリウッドの何十億って予算の映画が驚異的な音響の劇場で観れるじゃん。やっぱライブするときは対バンより、そういうのに勝つのを意識するかなぁ。
 俺なら結構映画とか漫画とか本とか服とか、そういうのにお金使うかな。ぶっちゃけ金額分の体験やペイってそっちの方が確実だし。
 なんなら1円も出さずに家でYoutubeのゲーム実況観るよ。実況者はわいわいとミノルが好きです。

 とはいえ人間の感覚とはまた不思議なもので、「この金額払ったんだからこのくらいの価値はあるだろう」って自分を騙す心理とかあるんだよね。キャバやパチにハマる心理と同じ。この金額使ったからオチるだろう、出るだろうっていう。
 じゃあある程度高値で売っといて、少数から高額巻き上げて成り立つビジネスが良いかっていうと、コンプラ的にはアウトでも俺はやっぱり否定はしない。
 アイドルの握手券とかも俺は肯定派なんだよね。アレも体験だから。音楽がガワだけだとしても間違いじゃないと思う。俺も顔が好きだから聞いてるバンドあるし。なんか音も顔のイメージが付いてくるじゃん。同じだよ。
 Ghettoは昔からずっと「売れそう」「大勢の前でやったらすぐ売れる」と言われてますが、ぶっちゃけた話この3人の見た目ってのは大きいんだろうね。美男美女とかではないけど、万人が見てバンドっていうバランスみたいな。
 顔バンって言葉もあるけど、そんなこと言ったら全部顔バンなんじゃないのかなぁって思う。いかついので揃えました! とかさ。女子だけでまとめました! とか。俗世に嫌気が差してそうなのを集めました! とか。最後のはGhettoのことです。
 正直Ghettoを売り込む手っ取り早い手段は俺が性転換することだよ。絶対しないけど。VRが本格化したらネカマはするかな。一時期ネカマに扮して出会い厨のオッサンを駅に呼び出して放置するのが趣味でした。そもそも出会い系のサクラもやってたわ。元気系の女子が得意だよ。あとメンヘラとか。
 今気づいたけど、ただの躁鬱じゃん。。。

 なんというか、最初の契約更新的な例えと同じで、金に苦しんでる人って一生苦しんでるイメージ。反面、そういう人ほど金を稼ぐことに罪悪感とか抱えてるタイプが多い。
 俺はあんまり音楽をお金に等価交換するのに抵抗が全く無い。自分が音楽を好きになったのはあの金額だったから、というのがあるし。
 貯金とかテスト頑張ったら買ってもらえるとか、そういうところの金額。子供もちょっと頑張れば買えるような。そうして頑張ってゲットした分最初の感動は格別だったし、最初分かんなくても子供にとっての大金ぶち込んだ分無理して聞きこんだりしたし。そのうち大好きになったりしてさ。
 ひっくるめて「体験」だったなって思う。レアなCDは片っ端から中古店チャリで回って手に入れて、途中で我慢できなくて歌詞カードだけ見て帰り道「どんな曲だろう」って想像して。
 音質とかも別に関係なかったよね。音小さいなーって思ったら音量上げるしさ。音質が綺麗だからこの曲好き、っていうのは無かったかな……音質悪い方が逆に胸に沁みたりとかね。ホント適当だよな、人間の感覚なんて。金でも音楽でも。
 まぁでもさすがに質が悪いものに高価格つける神経はしてないわ。騙すのは好きだけど詐欺は嫌い。無自覚な詐欺師が多いよね。ビジネスは嫌いじゃないけど、そういうのはビジネスとは言わない。
 などと書いてて、今からすでに「CD買う」「楽しみだ」メッセージはちょこちょこ頂いてるんですけど、多分みんな分かってて、GhettoのCDには体験がある、って期待してくれてるんだよね。うーん。もっと音源小出しにするんだった。もはや腕相撲で勝てた人だけ買える、とかそういうレベルを考えるよね。SASUKEクリアした人だけ買えるとか。
 そういうことじゃないか。。。
 ミキシングで聞きすぎてすでに判別がつかなくなってるんだけど、きっと既に期待通りにはなってる。期待以上かはもう分からない。もう少し時間の許す限り頑張るだけ。ちなみにレコ発は今年の9月の27日、金曜日です。
 それより問題はパッケージとか、どうすんだよ……あと三か月で間に合うのか全然分からん……マルチタスクすぎて死ぬ……。

 「もらうだけもらうよ、返さないし。で、あげるだけあげるわ、返さなくていいし」
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