寵愛

 ようやく昨日の明け方マスタリングが終わった。何のマスタリングか?
 それは以下の日程で発売開始するyugentの1stEPでござる。

三条 ROCKET PINK
dora presents"HEARTSOUND vol2"
Hopeless Raven "Carpe Diem" release tour
Hopeless Raven/16reasons/she song/yugent/ANGRY WORM/DOWN THE LINE
OPEN 17:00/START 17:30 ADV\1,500/DOOR\2,000/高校生以下\1,000

 ちなみにドリンクはないので、チケット代だけでオッケー。
 しかし、俺らのCDも5曲入り5百円なので、やっぱり2000円持ってきてください。つまり買え。買って。購入して。

 大変だった……ここ最近寝不足で、いつも以上に奇行を繰り返した。
 コンビニで「箸はお付けしますか」と聞かれて、みのもんたレベルに溜めてから「…………い、一膳で」と言ったり。
 煙草をくわえてないのに火をつけて、しばらくぼーっと火を見ていたり。
 「煙草のエコーは、他のタバコの余った葉っぱを使ってるから安いんだって」と言われ、
 「おおー、じゃあエコってことですか。あ、ちょっと、違うちょっと待ってください」
 「原くん……! それ使っていい?」と突っ込まれたり。
 通行人とすれ違うときにフェイントかけあいしたり。
 何も無いところでずっこけたり。
 人前でおもむろに鼻毛抜いたり。
 ミッキー風の声で「ハッハー!ボクもう疲れちゃった早く還りたいナー、土に!」と職場で言ってたり。

 いや待て、これいつも通りだな。
 まぁいいや、丁度音源も出来たことだし、音楽の聞き方にでもついて語ろう。
 今現在あらゆる音楽再生機がこの世には存在し、みな様々な手段で楽しんでいる。
 おおざっぱに分けるとオーディオコンポ、PC、携帯プレイヤー(スマホ含む)か。
 それぞれ色んなメリット、デメリットがある。

 オーディオコンポは、あんまりぶっ飛んだところまで行くと俺も分からないが、基本的に金をかければかけるほどいい音で音楽が聞ける、というメリットがある。
 いい再生機、いい部屋鳴り、いい電源ケーブル、いいスピーカー、など。しかしそこまで手をかけてCDを流すというのも……レコードならまだ分かるが。
 この石を置けば音がよくなる、スピーカーの下に煉瓦を置くと音がよくなる、などの胡散臭い話や商品も多く、どこまで本当だか俺には理解できない。
 まぁ思い込みだろうと真実だろうと、高い金払ってゲットした道具で、お気に入りのCDを聞く、そういう贅沢はいいと思う。払った分だけ楽しめるなら、不毛だけどそれもいい。それなら自作したほうが最終的には納得できると思うが。
 デメリットは勿論手間と金がかかる、ということだ。CDをセットすることも手間だという人もいるだろう。
 昔は手間じゃなかったが、便利になったことで一気に面倒になることもある。

 PCは主にyoutubeやBGM的に使う人が多いだろう。あの曲聞きたいけど、わざわざCDケースから引っ張り出してセットして、というほどでもないときの手軽さがある。あとはネットを利用した、後述する携帯プレイヤー以上のデータベースだな。
 ただPCのスピーカーはお世辞にもいい音とは言えないので、ヘッドフォンでもスピーカーでもいいから、ちょっとお金出してグレードアップしてほしいところ。あれは音楽を楽しむ用途ではない。
 俺も、音楽は部屋でPCで聞くことが一番多いため、ライン接続でCDプレイヤーからPCの音を出している。
 デメリットは、やはり腰を据えて聞くのには不向きってことか。俺だけかもしれんが、CD自体の音質でないと音楽に入り込むことが難しい。いや、多分データ上は、人間の聴覚では分からないレベルだと思うんだけどね。
 頑張ればオーディオコンポと同じくらい楽しめると思うが、音楽聞くのに頑張るのもな……。

 携帯プレイヤーは今現在一番多い人口だろう。SONYがウォークマン開発してから爆発的に普及したね。
 街中でもチラホライヤホンをつけて歩いている人を見る。俺もその一人だ。
 どこでも聞ける手軽さに、媒体の大容量化も加わって利便性はずば抜けている。
 アンプも必然的にイヤホンかヘッドフォンになるため、世界に入り込むにはもっとも簡単な手段だ。俺にとってはね。
 デメリットというと、危ないってことかな。あと大容量化の過程で音源のデータが圧縮されて音が悪くなっている、ということだ。音質の劣化は、厳密には俺も分からない……こう言うと音が良くなる石と同レベルだが「ナマっぽさに欠ける」っちゅーことやね。

 これらのメリットデメリットをふまえ、俺が一番素直に味わえてたのって、携帯CDプレイヤーだったなぁ。
 手軽さと、アルバム一枚聞きとおすっていうバランスがすごくよかった。いつも田園や山道を散歩しながら聞いてたし。
 MDウォークマンでもないところがミソね。
 でも今やれって言われると、やっぱり厳しいな……幅広でポケットに入らないしね。
 昔のリュックは、ひっかける輪っかの下に、イヤホン通す穴とかあったな。懐かしい。

 そういえば、音楽を愛聴する人の中には、イコライザー(曲の周波数をいじる機能)を駆使する人もいるそうな。いるそうな、って、俺もそうだったんだけど。
 若い頃はベースブースト(低音を持ち上げる)してたけど、ある時期からやらなくなった。
 当人が聞いてカッコイイと思う状態で聞けばいいから全く止めないが、ミュージシャンやバンド、エンジニアが良しとした完成品がCDだったりレコードだったりするわけだ。
 で、俺は好きでソレを聞いてるのだから、そのまま聞くことにした。最初はベースの音とか聞き取れなかったけど、案外今じゃそのままでも全部の音聞こえるんだよね。
 まぁ一番の理由はミキシングの勉強なんだけどね。いやぁ、メリケンのポップスのミキシングは尋常じゃないよ、隅々まで聞こえるし、プレイヤーが目の前にいるような音像だもん。

 あと時代ごとの音質の変遷などもさらっていこう。
 60年代は録音機材が未熟であることと、レコーディング技術過渡期ため、ちょっとモコモコした音質の作品が多い。媒体もレコードが多く、それを加味してのあの音質だったのだろう。聞いたことは無いが、おそらくこの時期の作品の真価はレコードでこそ発揮できるのだと思う。
 が、例外としてなぜかJAZZ系は現代とほぼ遜色ない音色で収められている。使っている楽器がクラシックとさほど差がないから、エンジニアもコツを掴んでいたのだろうか。
 因みに、有名な話だが、レコードにはCDに収められない超低周波や超高周波が録音でき、人間の耳には聞こえないものの、それがレコード独特の音価に繋がっていたのではないか、などと言われている。
 知覚はできなくとも、思い込みではなく実際に鳴っているのだから、影響がないということはないだろう。人間は肌でも肉でも血でも音を聞く生き物だからな。
 待てよ、血で聞く音楽か。カッコイイな。
 また、音源だけに出来るアプローチも実験的に数多く行われ(特にビートルズが熱心だったそうな)、パン振り(ギターの音が右からだけ聞こえたりする奴)、隠しトラック、ホワイトノイズの収録などもこの頃すでに行われていたそうだ。

 70年代はエレキ系の楽器も完全に定着し、また音楽産業自体が賑やかになってきたこともありセオリーが確立した感がある。
 だから別に言うことはない。
 70年代後期派生のパンクバンドも、ローファイに親しんでから聞くと、ガラクタみたいな音像は置いといて、意外と聞ける程度にはなっている。あんまり認めたくないが、これが魂ってやつなんだろう。多分。

 80年代はハードロック全盛、いわゆる音圧が重視される時代に。ド派手な音響や爆音に注目されてくるわけだな。それでなくても十分派手だと思うが……。
 シンセサイザーやキーボード、ホーンセクションやストリングスなど、とにかく音数を増やしたり、感動的、熱狂的なアレンジにみんなてんてこまいだった時期だな。
 個人的には80年代に好きなバンドはQueenとEarth,Wind&Fire(こういう3単語のバンド名も当時流行ってたらしい)、the smithsなどのニューウェーブ勢と初期パンク勢だけだ。
 筋肉マッチョもりもり系の音楽は俺は好きじゃない……おバカなのは好きですよ。やりすぎ系メタルとかね。でもやっぱ俺の中ではエンターテイメントの枠を越えないかな。

 ちなみに日本ではここら辺から、音質のガラパゴス化が始まる。(もっと前か?)
 具体的には演奏はあくまでバック、歌を重点に、街中のスピーカーでも歌だけは聞こえるようなミックスが重視され始める。歌番組なども同様だ。トラブルが怖いからアテ振りや口パクなんかも増加する。ま、そりゃいいや。
 問題は低音カットだな。商店街の天蓋とかについてる安いスピーカーじゃあ豊かなベースなんて鳴りっこないから、その分の音圧は歌に振ったほうがいいってことで、だんだん演奏が薄っぺらくなってくる。

 90年代はオルタナ系ロックの台頭で、再び意味の分からん音源が増える。打ち込み系が隆盛するのも個人的にはここら辺。70~80年代のサマー・オブ・ラブがヒッピーの枠を越えた、というラインを感じる。いや、詳しくないから言及は避けよう。忘れてくれ。
 80年代の音圧主義に反発してか、パンク精神の敬愛か、はたまたやる気と金がないのか、へぼい音質のハードコアやローファイ、違った解釈としてシューゲイザーなど。
 俺はやはり90年代の音楽が好きだ。自堕落で怠惰で享楽的、だけど空しくて、など。

 さっきから言っている音圧というもの。まぁ字面だけ見てなんとなく分かると思うが、音の厚みのことだ。
 音源と言うものは収録できる音圧が0db(デシベル)と決まっていて、それ以上を越えると一般の再生機では多くの場合音が割れてしまう。
 要するにパイが決まっているわけだ。そのパイをどの楽器にどう分けるか、ということになる。
 人間の耳の可聴域は20Hz~20000Hz(ヘルツ)で、高域は加齢によって減退する。ヘルツとは一秒間に何回波が揺れているかと言う単位で、クラシックで基音(基本の音)とされるA(ラ)の音は大体440Hzから442Hzに指定されている。これは一秒間に440回ほど波が揺れている、ということだ。数が少ないほど低い、多いほど高いということになる。
 で、その20Hz~20000Hzの音が全帯域で満遍なく鳴っているほど、人間は「音圧が高い」(迫力がある)と認識する。音がミッチリしていると感じるのだな。
 現代はこの音圧競争が激化して、リンプ・ビズキットよりアイドルの曲の方が音圧が高い、なんていう可笑しな事態になっている。
 当然ながら音圧も、高ければいいというわけではない。長時間聞いてると疲れるし、若い俺が長時間疲れるんだから、年取ってなど聞いてられない。
 更に高ければカッコいいわけでもない。当然ながら音自体じゃなくて、音楽を聞いてるわけだからな。
 ついでにこの、音圧を稼ぐというセオリーも定着しつつあり、みんな同じ音になっている。ダイナミックさにも欠けるし、のっぺりしている。
 歌の出だしから音圧MAXで情緒もクソもあるか!
 手間隙かかってるな、とは思うが、それじゃあまりにも寂しいぜ。音色も含めての音楽だ。

 気軽に始めたつもりが、めちゃめちゃ長くなった。この辺で終わらせておこう。
 で、yugentのEPなのだが。
 音圧重視のバンドや、音圧に慣れたリスナーに舐められるのも癪なので、音圧は結構上げた。
 が、あえて完璧に仕上げてもいない。
 再生機によるが、目盛りを一ずつ上げていくと、あるところで一気にグッと大きく聞こえる部分があると思う。そこで聞いて欲しい。音圧以外の俺たちの感情が見えると思う。

 幾つかの楽曲は次回製作予定のアルバムに収録するつもりなので、そちらの方はもっと気ままにミキシングするつもりだ。もっとアーティスティックにしたいね。
 yugent最初の音源なので、不本意ながら商品としての施策も取りました。
 曲としての価値は到底500円では済まないつもりだが、もし、仮に、気に入らなかった人のためにも500円分の音質と音圧はぶち込んだ。だから不満でも文句は言うなよ?
 買う人の500円の価値は分からないが、そこは裏切らない。
 お楽しみに。
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